26 温泉が出た 2
ーーーズィルバー
ヴァイスがりゅうだって分かったのはいいんだぜ。
でもよ。
あいつの親ってどこにいるんだろうなぁ
「なあロート,どう思うよ?」
「何がだい?」
「ヴァイスの親だよ。」
「?」
「どこにいるんだろうな。」
俺たちは延々と続く砂浜を歩いている。
時々ロートが立ち止まる。ミャアコがいないから,遠慮しないでぶっぱなすぜ。
あいつ落ち着きないから危なくってな。
ドッカ~ン。
気持ちいいなぁ。
え?ここはだめ?またかよ。
はいはい。埋めますよ。
・・・・・
もう少し行くのかよぉ。
あっちぃし。砂は歩きずらいしよぉ。
しっぽに砂が付くのは嫌だから,ずっと挙げっぱなしだし。
「なぁロート・・・」
俺はまたロートに話しかける。
「もしかしたら,ヴァイスの親が迎えに来たりするんだろうか。どう思うよ?!」
ロートはぶつぶつ言いながら下を向いて,丹念に歩いていたが,俺の方を向く。
「これは憶測でしかないんですけどね・・・
ヴァイスは,あの温泉の土の中で長いこと眠っていたんじゃないかなと思いますよ。」
「え?!」
俺は思わず立ち止まる。
「卵のまま,土中深く眠っていたのじゃないかと思うのさ。」
「・・・・・俺が掘り出したってことか?」
「多分ね。」
「それを誰かが拾って温泉につけたのか・・・
土中なら,土色してたんだろうに,よく卵だって分かったな。
よっぽど食い意地の張ったやつが見つけたんだな。」
ロートがそれを聞いて笑った。
「もしかしたら,見つけたのはミャアコちゃんかもしれないぞ。」
ありえるな・・・。
「・・・ってことは,親はもしかしたらずっと昔に・・・」
「多分ね。」
・・・・もしかしたら,この地に残る伝説のりゅうの子どもかもな。
そうだったらおもしれえじゃないか。
今日も収穫はなかった。砂浜はどうも駄目みたいだ。
「明日は反対側にある岩場の方へ向かってみよう。」
ロートも疲れたようだった。
昼飯を暑い中もそもそ食べた後・・・
「おい,海に入ろうぜ。」
風呂もないしな。
ロートも賛成したので二人して手早く下着姿になる。
砂浜から一気に海へ駆け込む・・・
おお。気持ちいい。
俺の銀髪は濡れるとちょっと黒っぽくなる。
ロートの髪は赤いままだ。
そういやぁロートはいつも灰色の服を着ているんだけど,何でだろうな。
まぁ・・・俺もいつも黒服だからな。他の色は,着ようと考えたことねえしな。どうでもいいことを考える。
そこにヴァイスが飛んできた。
「ヴァイスも水浴びかい?」
聞くまもなく,ヴァイスは海に飛び込む。
ザッバーン
派手な水しぶきが,俺たちにも降り注ぐ。きれいな虹が散る。
こいつの皮膚は白いんだが,見方によっては薄い青にも,薄い赤にも,見えるときがある。ロートは,陽の光を反射してると言っていたけどな。
ロートは物知りだよな。
さすが,ばあさんとずっと旅をしていたと言うだけあって,いろいろ教えてもらってたんだろう・・・
「ミャアコちゃんはどうしたんだい?
え?ああ寝てるのか。」
ロートがヴァイスに聞いている声がする。
・・・起きたら怒るぞ。あいつずっと風呂に入ってねえもんな。
だけどよ・・・ヴァイスは,しゃべれないけど,何となく言いたいことが分かるんだよな。魔法も使えるし。りゅうってすげえな。
3人でさんざっぱら泳いだり,たまにヴァイスに乗っかって飛び込んでみたり・・・
海から上がると結構,いい時間がたっていた。
ばっさばっさとしっぽを振る。しっぽの水があちこち飛んで,熱い砂を冷やす。
「なあ,ロート、海の水もいいけど,なんかべたつくよな。」
「そうだね。早く温泉を見つけたいね。」
手早く服を着ていると,ヴァイスが羽を一振りして飛び立った。
あいつの羽は,鳥の羽と言うより,蝙蝠の羽に近いのかなぁ・・・
それよりずっと立派だし,強そうだけどな。
おお結構スピードでるな。
ミャアコのところに帰るんだな。
「僕たちも帰ろうか。」
「あぁ。」
明日もズィルバー視点で。




