21 次の温泉は 3
ヴァイスが伝説級のドラッヘだと分かったところで,ズィルバーとヴァイスは温泉探しに出かけていった。
で,あたしとヴァイスは黒いマント姿の 蜥蜴型獣人の前に座って,お話をしている。
「ミャアコちゃんは詠唱って知っているかい?」
「何?それ,おいしいの?」
・・・はい。突っ込みの猫型獣人がいにゃくてよかったよ。
・・・
「・・・詠唱は食べられないな。」
「何にゃんですか?」
「・・・・ 昨日あげた玉を出してごらん。」
返せって言う気かにゃ・・・疑ってジト目で見てしまう。
・・・おほん・・・
「返せなんていわないよ。」
渋々出して,右の手の平にのせて見せる。
「そっと握って。」
言われるままに右手で握る。
「右手を上に挙げて」
上に挙げる。
「これから言うことを繰り返して」
「これから言うことを繰り返して。」
「違う」
「違う」
蜥蜴型獣人はため息をついた。
もちろんあたしも。
「いいかい?!」
「いいかい?!」
・・・・・・
「ドナ・ゲブレル」
先生が怒鳴る。もちろんあたしも怒鳴る。
「ドナ・ゲブレル」
言った瞬間,すごい音とともに光が走った。
ドッカ~ン。近くに落ちた。
雷だ!!!あたし大嫌い!!!
思わずしゃがみ込む。しっぽがぶわっと膨らむ・・・見上げたら
蜥蜴型獣人はにやりと笑っていた。
「もう繰り返さなくていいよ。」
「本当は,もっと長いんだけど,ちょっと腹が立ったもんだからね。」
・・・腹が立つと短いの?変にゃの。
にゃぜか,先生は,それからも,短い呪文ってやつだけを,あたしに教えてくれた。
今度は,買ってもらった杖を使ってやってみたよ。
そしたら・・・杖を振り上げて,叫んだ瞬間,水がざばーっと塊で,落ちてきたり,
(水浸しだよ。ヴァイスは大喜びだったけど)
また,教えてもらったとおり杖を振り下げにゃがら,叫んだ瞬間,氷の塊がドスンドスンと落ちてきたり,ひえ~!!!
あぶにゃ~い!!!速攻跳んで逃げました。ヴァイスは飛んだよ。
一番ひどかったのは,叫んだ瞬間,火の玉が大量に降ってきたやつだった。
熱い!!!
そしたら,ヴァイスが口からビューって白い息を吹き出した。
これが例のブリザードかぁ。さ・・・寒い。
辺りは,たちまち真っ白ににゃり・・・
火が消えてやれやれ・・・よかった。
お昼ににゃって,宿屋から持ってきた美味しいお弁当を,蜥蜴型獣人とヴァイスの3人で一緒に食べる。
ヴァイスは,周りの草もちゃっかり食べちゃっていたので,辺りはすっかり砂ばかりににゃっていた。これってまずいかも。
蜥蜴型獣人が,
「ちょっと大人げなくてごめん」
って言ったけど,にゃんかあったのかにゃ。
杖の使い方も,玉の使い方もにゃんとにゃく分かったって言うか・・・
「ミャアコちゃんの力は,かなり強いから,杖や玉を持って呪文を唱えるときは注意しなければね。」
そうそう。と,蜥蜴型獣人は続ける。
「ちゃんとコントロールできるまで,特訓だね。」
「・・・本当は,きちんといろんな理論も教えたいところだけど,じっと話を聞いていられそうにない感じだからなあ。」
蜥蜴型獣人は,ぽつんとつぶやく。
あたしが,じっとしていられそうににゃいって・・・よく分かっているんだね。さすが蜥蜴型獣人。
お昼を食べた後の心地よいまどろみ・・・
蜥蜴型獣人は,ヴァイスににゃにか言い始めた。
あたしはもう眠くて聞いていられにゃかった。
暑くて目が覚めたら,蜥蜴型獣人も,ヴァイスもお昼寝していた。
ここは日陰がにゃいから,暑くにゃって目が覚めちゃったんだね。この二人は暑くにゃいのかにゃ。蜥蜴型獣人はマントがエアコンみたいだから大丈夫だろうけど。
しばらくしたら,ヴァイスが目覚めたみたい。急に飛び上がって海の方に飛んでいった。
「あ・・・あたしも海に入りたいよ~
待って~ヴァイス~
・・・薄情者~」
あたしのわめき声で,蜥蜴型獣人も目が覚めたみたい。
午後の訓練は,あの虹色の玉をじっと握って勉強するだけだった。
にゃんのため?
ヴァイスのためだよって蜥蜴型獣人が言うけど。
「握って,ずっと思いを込めるんだよ。」
「おもいって?」
「ヴァイスが幸せになれますようにって言う思いだよ。」
それにゃら大丈夫。ちゃんと願えるよ。
それから空がきれいにゃ色に染まる頃,戻ってきたヴァイスと一緒に宿屋へ帰った。
そうそう。蜥蜴型獣人に,虹色の玉を,暇があったらいつも願いを込めて握っているようにって言われたよ。何だろう?!
宿屋へ帰っていくと,ロートとズィルバーもちょうど帰ってきたところだった。
二人ともさっぱりした顔をしている。海に入ったんだ。
ひどいよ。あたし,今日もお風呂にゃしにゃの!!!




