12 温泉を探そう 3
二人が上がると,湯船が二つ,少し離れて出来ていた。
にゃんでふたつ?
「男用と女用だよ。」
聞く前に答えてくれてありがとう,ロート。
「本当は,毛のたくさんある獣人用と,毛があんまりない獣人用の4つあるといいんだけどな。それは別料金になるからな。
・・・ま,今回は男女2つという依頼だからな。」
ズィルバーも,さらに詳しくありがと。
持たされているお昼をのんびり食べた後, 3人で集落へ戻る。
ぴかぴかになって帰ったあたし達の,においのせいか,たくさんの熊型獣人が集まってきた。すごい音がここまで聞こえていたようで,お姉さん達がすごく心配していた。
すごい音だったから,みんなで見に行こうと騒いでいた熊型獣人も,たくさんいたんだって。
でも,
「危険だから,帰ってくるまで,現場に近寄らないように」
というロートの言葉があったから,じりじりして待っていたらしい。
みんにゃ,わくわくしにゃがらあたし達の話を聞こうとして集まっている。
温泉が出たという説明に,みんにゃ躍り上がって喜んでいた。喜んでもらえるっていいにゃ~
もう夕方ににゃるので,明日,みんにゃで温泉の場所に行くことににゃった。あたしたちみんにゃ,夜目は利くんだけど・・・まぁいいか。
朝起きて,朝ご飯も慌ただしくかき込んで広場に行くと,熊型獣人だけでなく,いろいろな獣人達が集まっていた。
一緒に来たお姉さんがあちこち示してあたしに教えてくれる。
「鹿,兎,猪,穴熊・・・みんな,ここら辺に温泉をって思ってるの。でね,探すお金を出し合ったんだよ。」
「みんなそろっているかね?」
村長さんが大きな声で聞いた。
わざわざ,明日って言ったわけは,みんにゃを呼び寄せるためだったんだね。
ロートが場所と,様子を説明する。その際,
「湯温は38度くらいでぬるめ。
湯船は一応2つ作ってきたが,囲いがないから,行ったら作らないといけない,
湯量は豊富だが,雨や雪が少ない年が続くと,出なくなこともある・・・」
等々話していた。
小獣達はあたしも含めてそんにゃのどうでもいいから,みんにゃが集まっているってだけで大はしゃぎしていた。
それから大人達がまず先に行って,囲いなどを作ることににゃったようだ。気がついたら小獣達と,女の人たちしか残っていにゃかった。
もちろん,ロートもズィルバーもいにゃい。
あれぇ。いつの間に。
それからみんにゃで炊き出し弁当とやらをたくさん作った。
あたしたち小獣も,出来たお弁当を大きな葉っぱに包む仕事を手伝った。
お弁当は,かりかりではにゃいけれど,ぺたんこのパンみたいなものに,お肉とか,野菜とかを煮て挟んだものだった。いつものお弁当だ。おいしいんだよねぇ・・・・
お昼前に,ズィルバーが戻ってきた。大体できたので,みんにゃを呼びに来たらしい。
みんにゃでお弁当や着替えを持ってぞろぞろと温泉に向かう。
みんにゃでわいわい2刻(1時間)くらい歩いた。
ちょっと山を登って,またちょっと下ったところに,その温泉は出来ている。
湯気が上の方からも見えて小獣達は大はしゃぎで走り出した。
もちろんあたしも一緒だ。
お風呂に飛び込もうとする小獣達を引き留めたのは作業を終えて休んでいる大人達だった。
まず,昼飯だ・・・って誰かが叫んだ。
『お風呂に入る直前に食べると体に悪い。
さらに言うと,空腹で入るのも体に悪い。』
誰かが私の耳元で言うから,大きな声でみんにゃに伝える。
あたしの言葉で,大人達は少し集まって相談したみたい。
食事の後,1刻(30分)くらい休憩してから,まず,作業して疲れている大人達が入ることににゃった。
ご飯の時,温泉に入ったことがあるって言う兎獣人の 誰かが,「温泉卵」のことを言い出した。
どこかの温泉で食べたそれが,とっても美味しかったらしい。
話を聞いているだけで,みんにゃよだれがとまらにゃい。
早速,食べ終わって退屈していた小獣達が,その辺をちょろちょろ走り回って,何かの卵をいくつか集めてきた。もちろんあたしも一緒に探したよ。
そして,お弁当を入れてきたかごの中に入れて,お風呂に入れる・・・
作業をしてくれた大人達が入った後は,ご飯を作った大人達と小さい子達の番だ。その人達が上がると,いよいよあたしたち小獣の番だ。
小獣は男も女もないから,みんにゃで広い方のお風呂に入る。ばしゃばしゃばしゃ・・・・泳ぎが得意にゃ子が泳ぎ始める。
キャーキャーわーわーと楽しそうだ。
あたし?もちろん一緒に騒いでいましたよ。
最後は,それぞれの村の村長さん達に,怒鳴られて上がりました・・・。
そんにゃに怒らにゃくても..
気持ちよかったぁ!!!
大人達も小獣達もお風呂からみんな上がった頃,またまた事件がおこった・・・・ふふふ