↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつか、君にただいまを――勇者一行の騎士は、ただ故郷へ帰りたい。  作者: puni0023


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/14

番外編 それぞれの旅路

王都からの帰り道、四人はのんびりと街道を歩いていた。


「なあ、バルト、リディア。これから、二人はどうするんだ?」


シオンの問いに、バルトは伸びをしながら答えた。


「んー、しばらくは、また自由に旅でもしようかと思ってる」


「私は、ちょっとだけ、どこかに定住するのも憧れるかなあ」


リディアがふわりと呟くと、バルトが横で笑った。


「言ってること違うじゃねえか」


「だって、まだ決めてないんだもん」


顔を見合わせて笑う二人に、ミアもつられて笑ってしまう。


「とりあえず、村までは一緒に行くよ」


バルトの言葉に、シオンとミアは顔を見合わせて頷いた。


*


村に着いてから、二人はしばらく滞在した。


パン屋の手伝いをしたり、村の子どもたちに剣や魔法の話をせがまれたり。にぎやかな数日を過ごしたあと、二人はまた、風のように旅立っていった。


「また来るからな!」


「今度は、お土産持ってくるわね」


見送るミアとシオンに、二人は大きく手を振って、街道の向こうへ消えていった。


*


それから数年、バルトとリディアは、思い出したように村へ顔を出した。


ミアとシオンの間に赤ん坊が生まれたと知らせを送ったときには、二人揃って飛んできた。


「うわあ、かわいい……! 見て、バルト、この小さい手!」


リディアが赤ん坊を覗き込んで、目を輝かせる。


「ほんとだ、ちっちゃいな」


バルトも、柄にもなく優しい顔で、赤ん坊の頬をつついた。


そんな二人の左手に、ミアはふと目を留めた。


「――あれ? 二人とも、指輪してる?」


「ん? ああ、うん」


バルトが、少し照れくさそうに頭をかいた。


「実は、去年、結婚したんだ」


「そうだったのか」


シオンは驚いたように、けれど嬉しそうに目を細めた。


「ごめんないうの遅くなって、なんか照れくさくてさ」


苦笑するバルトの隣で、リディアがそっとお腹に手を添えた。


「それに……実は、旅は少しお休みしてるの」


「え?」


「妊娠したのよ、私」


ミアが驚いて目を丸くすると、リディアは幸せそうに微笑んだ。


*


それから、バルトとリディアは、しばらく村に留まることになった。


空き家になっていた古い小屋を借り、少しずつ手を入れて住み始める。


「なあリディア、いっそこの村に住んじゃおうか」


「あら、いいわね、それ」


冗談まじりに交わされたはずの言葉は、いつの間にか、本当に現実になっていった。


「まさか、二人がこの村に居着くとはね」


ミアが笑いながら言うと、バルトも肩をすくめる。


「俺も驚いてるよ。……でも、悪くないもんだな。誰かが待っててくれる場所があるのって」


その言葉に、ミアとシオンは、思わず顔を見合わせた。


十年間、待つことと、待たれることの意味を、誰よりも噛みしめてきた二人にとって、その一言は、何よりも深く響いた。


村の一角に、新しい家族が根を下ろす。


パン屋の隣に、小さな魔法道具店ができたのは、それから間もなくのことだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。