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現代にダンジョンが出来たので好色に生きようと思います  作者: 木虎海人
第二章 普通の冒険者

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 「十一枚と七枠」


 運転席のシートに背を預け、目を閉じたまま雨木は、

自分の持つ手札を順番に思い浮かべていった。


・《火魔法(纏型)/Lv.2×1/+2》

・《嗅覚強化/Lv.2×1》

・《風魔法(纏型)/Lv.2×1》

・《リフェリア》のモンスターカード

・《風魔法(射出型)/Lv.2×1》

・《棍棒術/Lv.1×1》

・《DEX上昇/+8》

・《AGI上昇/+1》

・《水魔法(射出型)/Lv.2×1》

・《スライム》のモンスターカード

・《水魔法(盾・壁型)/Lv.2×1》


 現在までの取得カードは十一枚。

雨木は、これだけの戦闘選択肢を持っている。


 六月の頭に冒険者となり、まだ二ヶ月も経っていない。

それでいて、これだけ集められたのはかなり上出来なスタートだったと雨木は思う。


 その中でも特筆すべきは、やはり精霊との出会いだろう。


・緑色の蝶の姿をしたリフェリア。

・薄い青色のスライムの姿をしたメリア。


 世間ではモンスターカードと呼ばれるこの二枚。

ほとんどの冒険者は出会うこともなく、その冒険者人生を終えるという。


 そんな希少な精霊という存在。

リフェリア、メリア、そしてコダマ。

雨木は三種も出会っている。

これは決して雨木の実力だけではない。かなり運が良いことだと自覚していた。


 だがその反面、その幸運に比べれば些細なことではあるものの、新たな悩みも生まれていた。

もちろん、記録書(レコルド)のスロット数のことだ。


 《レコルド》にはスキルスロットが三枠、アイテムスロットが九枠。

基本的に使えるのは合計十二枠しかない。


 加えて、ダンジョン攻略に必要なのはカードだけではない。

持ち込みたい物はいくらでもある。

そして、その一つ一つが《レコルド》のスロットを圧迫していた。


 特注の鉄製トンファーやバール。


 魔物と戦う以上、武器の予備は必須だ。

まだ防具にはそこまで資金をつぎ込んでいないものの、防具代わりに使っている作業服にも予備が必要だった。


 そしてダンジョン内では銃火器や電気製品は使えない。

だが、その一方で使用できる道具はいくらでも存在する。


ロープや工具類。

懐中電灯は使えなくとも、ランタンのようなアナログな照明器具なら問題なく機能する。


持ち込めば役に立つ物など、探せばいくらでも出てくる。


 なにより、体格が良く燃費の悪い雨木にとって、食料は欠かせない。

《レコルド》が存在しなければ携帯食料で我慢するしかなかっただろう。


 だが、その存在は便利すぎた。


 牛丼やコンビニ弁当も、ダンジョンへ持ち込んでカード化してしまえば簡単に持ち運べる。

せっかく身体を張っているのだから、ダンジョン内での食事くらいは少しでもマシなものを食べたい。


《レコルド》の便利さは雨木にそう思わせてしまう。


(まぁ、……その煩わしさも、お前らがいるおかげで大分マシなんだけどな。俺のとこに来てくれたことに、ほんと感謝しかねぇよ)


 閉じていた目を開いた雨木は、助手席で戯れている二体の精霊を見てそう思った。


《風魔法(射出型)/Lv.2×1》

《風魔法(纏型)/Lv.2×1》


《水魔法(射出型)/Lv.2×1》

《水魔法(盾・壁型)/Lv.2×1》


 この四種は雨木の戦闘選択肢だが、スキルカードとしては《レコルド》に存在しない。


 風魔法二種は風の微小精霊リフェリアに。

 水魔法二種は水の微小精霊メリアに。


 どちらもカード化した際に対応する魔法スキルカードを吸収している。

精霊自身が魔法スキルカードを内蔵している、と言ってもいい。


 そのため、スキルスロットにリフェリアが入っている限り、雨木は風魔法を使用できている。

また、ダンジョン内で具現化したリフェリア自身も、自らの判断で風魔法を使っている。


 使用回数も、おそらく共有ではない。


 ダンジョン内で魔法スキルを使える回数は所有するカードの数に比例する。

 レベル2+0のカードなら、レベル1のスキルカード十枚に相当する。


 昨日の下水道ダンジョンでも、雨木とリフェリアは互いに十発近い射出型風魔法レベル1『エアハンマー』を使用していた。


 もしかすると、精霊側には回数制限そのものが存在しないのかもしれない。


 雨木はそんな可能性まで考えていた。

そして、水の微小精霊であるメリアも、同様のことが出来るだろうと、踏んでいる。


 もっとも、メリアの時は少し事情が違った。

盾・壁型を選んだのは、正確には雨木自身ではなかったからだ。


 出会った精霊と共に奥の階層へと進むのは二度目だったこともあり、雨木は先に射出型を選択した。

戦闘での即効性を優先したからである。


 しかし、メリアがカード化した際、得たもう一枚がなぜか盾・壁型だった。


 今となっては結果論だが、先に分かっていたなら纏型を選んでいたかもしれない。

その点については、少しだけ後悔もあった。


(……別に自力で得たものじゃないし、ありがたく使わせてもらうだけだけど。

それ以上に、……おまえらが強すぎてな。


……おかげで、群れてセコセコやってる奴らが馬鹿に見えてくるくらいだ)


 雨木も元々は、他の冒険者と同じようにサークル臨時や野良臨時に参加する。

そうした手段も選択肢の一つとして考えていた。


 一人ではいつか、限界がくる。

頭の中では理解していたことだ。

だからそれまでは足掻くつもりだった。


 だが今ではあほらしくて、美濃原との取引が無ければ二度と参加しなかっただろう。


 それくらい、精霊が、モンスターカードが強かった。


 最大の強み。

それが、カードリンクという能力にある。


 リフェリアはカード化した際、雨木が所有していた『火魔法』と『嗅覚強化』のスキルカードをリンクさせた。


 その結果、雨木はスキルスロットに入れていなくても『火魔法』を使用できるようになった。


 『嗅覚強化』は使えない。

だが時折、そのスキルが発動したような感覚を覚えることがある。


 そしてメリア。


 カード化した際にリンクされたのは、再び『嗅覚強化』、

そして『棍棒術』のスキルカードだった。


 これはスキルスロットに入れなくても、雨木は『棍棒術』のスキル、『クラッシュ』を利用できるということを意味する。

これは大きい。


 リフェリア単体ではよく分からなかったカードのリンクという能力。

だが二体目となれば見えて来るものがある。


 例えばステータス上昇カードはリンクされていないということ。

DEXのステータスカードは、雑魚ゴブリンが稀に落とすドロップだった。

AGIのステータスカードは、薬草ダンジョンでレッサーコボルトが運良くドロップした。


 もっともこのステータスカードも、スキルスロットに刺さなければ効果を発揮しない。

なので昨日までのスロットの圧迫。

その主犯だったとも言える。


 それでも貴重であることに変わりはない。

雨木は手放すという選択肢を取れなかった。


 だがメリアという仲間が出来たことで、状況は大きく変わった。


 現在の雨木のスロットはこうなっている。


スキルスロット01 《リフェリア》

 └《風魔法(纏型)/Lv.2×1》

 └《風魔法(射出型)/Lv.2×1》


スキルスロット02 《メリア》

 └《水魔法(射出型)/Lv.2×1》

 └《水魔法(盾・壁型)/Lv.2×1》


スキルスロット03 空き


アイテムスロット04 《火魔法(纏型)/Lv.2×1/+2》 【リンク:リフェリア】

アイテムスロット05 《嗅覚強化/Lv.2》 【リンク:リフェリア・メリア】

アイテムスロット06 《棍棒術/Lv.1》 【リンク:メリア】

アイテムスロット07 《DEX上昇/+8》

アイテムスロット08 《AGI上昇/+1》

アイテムスロット09 空き

アイテムスロット10 空き

アイテムスロット11 空き

アイテムスロット12 空き


 選択肢としては十一枚分のカードがある。

なのに精霊たちのおかげで、使用しているのは七枠だけだ。


 これまで散々悩んでいた槍スキルレベル2のカード取得による、さらなる枠の圧迫。

特にスキルスロットに入れるカードの取捨選択に頭を悩ませられていた。


 それすら、精霊たちのおかげで解決してしまった。


 むしろ今なら、前向きに手に入れたいとさえ思えていた。


※本作は作者による構成・執筆を基に、一部AIを補助的に利用しています。


しばらくは週末(土日0時)更新を目標に進めていきます。

難しい週もあるかと思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。


※スキルカードの表記について


今話の中では、文章の構成上、レコルド内での表記を使用しています。


毎回この表記を使用すると情報量が多くなり読みづらくなるため、

次話以降の本文では基本的に「火魔法レベル2」のような簡潔な表記を使用します。


レコルド内では、以下のような表記になります。

《火魔法(纏型)/Lv.2×1/+2》

この場合、

・Lv.2のカードを1枚所持

・Lv.1のカードを2枚蓄積

している状態を表しています。


なお、「+」は下位レベルの蓄積枚数です。

蓄積が0の場合は省略されます。


また、Lv.3以降は、

《火魔法(纏型)/Lv.3×1/+2/+7》

のように表記されます。

この場合、

・Lv.3のカードを1枚所持

・Lv.2のカードを2枚蓄積

・Lv.1のカードを7枚蓄積

している状態を表しています。


ただし、この表記はレコルド内や所持カード一覧を表示する場合のみ使用します。


また、DEXやAGIなどのステータス上昇カードは、

《DEX上昇/+28》

のように、累計上昇値のみが表記されます。


設定については100話到達までは更新を優先し、時間の都合を見ながら、いずれ設定資料としてまとめたいと考えています。

よろしくお願いいたします。


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