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9-17 卒業後の同窓会 17



「そういえばここに、ベルリンの壁があるらしいよ」


 僕はふと思い出した話をしてみる。聞いた話だが、東西ドイツ時代にあった壁がここに輸入されているらしい。


「小学生の頃、ベルリンの壁って比喩的なものだと思ってた」


 彼女はそういった。どうやらベルリンに物理的に壁があったのではなく、東西ドイツ間の断絶や分断のことを「壁」という単語で象徴的に表したものだと思っていたらしい。自分は物理的な壁だと習った記憶があるが、調べてみるとその長さは100マイル近くにも渡っていたらしい。100マイルというとここから静岡駅までの距離とほぼ同じらしい。そんな長い距離にわたり壁が渡っていたなんて想像もできない話だ。


 その建物の入り口の近くに、チンアナゴのような生物が描かれた石板があった。入り口に近い場所といっても、公共に開放されており、特に入ったという気もしないような場所にあった。


「こんなのが160kmも連なっていたと考えるとすごいよね」


 なっちはそういった。自分はベルリンの壁を少し眺めた後、そのまま快活がある交差点の方まで進んで行った。


 一緒に歩くのは2年ぶりだが、そんなに経ったとは思えないほど最近のようにも感じる。自分は交差点を渡ってセブンイレブンの方に向かって行った。


「2年前はここでお酒買って飲んだよね」

 

 僕は覚えていることを話した。なっちも覚えているようだった。


「一緒に歩いてきて思ったんだけど、伝えたいことがあるから、また飲みながらでも話さない?」


 彼女はそう提案する。僕はなんだろうと思いながら、コンビニでアルコール度数が低い飲み物を買った。なっちは先ほど飲んでいたものと同じものを買っているようだった。僕たちはコンビニの近くにある、人通りの少ない公園のベンチに腰掛けた。


「一緒に歩いてて思ったんだけど、あの日の関係に戻りたくなったんだよね」


 なっちはそういった。正直、内心では自分もそう思っていることを伝えた。なっちは話す。


「実は言ってなかったけど、金曜日おとといをもって、自分はアイドルとしての活動を終了することになってたから、今日から高校時代の頃みたいな関係に戻りたい」


 彼女はそういった。僕は、分かったと伝えた。


 4年ぶりに「彼女」としての関係に戻ったことになる。アイドルを辞めることになってしまったのは彼女にとっては不本意かもしれないが、彼女はこれからよろしくね、と伝えてくれた。


 彼女は僕の手を握ってくれた。僕も握り返して、これからよろしくと伝えた。

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