9-17 卒業後の同窓会 17
僕たちはお酒が缶が空っぽになるまでベンチで話し合うことにした。
彼女はお酒が回っているようで、ベンチの背もたれに体を預けるような体制をとっていた。彼女に大丈夫か聞いてみたが、気持ち悪くはないと言っていた。
「ショウと別れてから4年ほど経つけど、恋愛的な意味で今私のことをどう思ってる?」
彼女に聞かれた質問は自分があえて考えないようにしていたものだった。僕は夜空を仰ぎ少し考える。星はほとんど見えないがオリオン座がうっすらと見える。冷たい風を感じながら自分は答えた。
「んー、高校以降恋愛してないし、あまりイメージ湧かないかな」
自分は素直に思ったことを伝える。異性と話す頻度自体が少ないため、そこから恋愛に発展することも起きなかった。自分が現在誰かを恋愛的な意味で好きになっているとか、誰かと付き合っているところを想像できていないのが現状だ。
「逆に聞くけど、そっちは僕のことをどう思ってる?」
自分は聞いてみたいけど内心は知りたくないとも思っていることを、酒の勢いに任せて口にした。なっちは話す。
「聞いといてなんだけど、自分でもよくわからないんだよね」
彼女はそういった。正直内心自体は、僕と彼女で同じように感じる。
「帰りながらゆっくり考えない?」
彼女がお酒をほとんど飲み終わっていそうなことを確認し、僕はそう提案した。彼女は、そうしようと言った。お酒を買ったコンビニのゴミ箱に缶を捨て、僕たちは家の方へと歩いて行った。
お互いが何も言葉を発せず夜の道を歩いていく。たまに通りがかる車の音がうるさく聞こえるほど環境は静かだった。彼女は無言の魔に耐えられなくなったのか話した。
「正直、あの日のような関係に戻りたいと思う?」
今思い返すと、高校の頃は楽しかった。当時からもそう思っていたし、それが変わることはない。あの頃に戻れるのであれば戻りたい、本音としてはそう思っている。僕は彼女にそう伝えた。
「正直、なっち的にはどう思ってる?」
改めて同じことを聞いてみる。なっちは話し始めた。
「アイドル活動との兼ね合いでどうなるのかなと思ってたけど、もう復活することは無理そうだし、戻れるのであれば戻りたいと私も思ってるんだよね」
彼女はそう言った。アイドルとしての人生はここで終了することになるらしい。自分はそれを諦めてほしくはないが、そのことは自分とは関係なく決まっていたことだ。自分に責任がないと考えると少しは楽になる。
道は暗いが、街灯が定距離ごとに置かれているためそこまで怖くはない。僕は公園の川道を横切って、いつだったか通った認証に関するドイツ企業の横を通り過ぎた。




