幕間2 ゲームスタート
「いやぁグラフィック粗いねー。でもそれが味ってやつ?……ねえ?勇斗、聞こえてるー?」
ゲーム音ともに賢二の明るい声がヘッドホン越しに俺の耳に流れ込む。顔は見えないが通話の向こうでどんな顔をしているのか容易に想像がつくくらいには付き合い長い間柄だ。
「聞こえてるよ。でも見られながらゲームするの恥ずかしいな。」
「言い出しっぺはお前じゃん。まぁ心配すんなよ。これで上手かったらお前も配信者になっちゃえよ!」
賢治からの提案は一旦無視してオープニングを眺める。確かに今のゲームと比べればグラフィックは粗いがこれくらいのほうがゲームをしている感がするので自分としては嬉しい。それにBGMはアップテンポでこれからゲームを始める導入としては引き込ませるのに十分な良BGMといって差し支えない。
そして一通りオープニングイベントが終わるとシーンは民家の一室へと変わり主人公と思しきキャラが現れ、そのままキャラクタークリエイト画面へと移る。
「なぁ賢二?これって名前とか誕生日とかでステータスって決まったっけ?」
プレイヤーに主人公の設定を決めさせる昔のRPGの中には特定の名前や誕生日を入れると初期の能力値にボーナスを貰えるような仕様も珍しくない。個人的にはそれを避けたいのだ。
「え?ああ、ちょっと待てよ……。いや、そういうのはないみたいだわ。好きにしていいんじゃねえか。」
「そっか。じゃあ名前は…ケ、ン、ジと…」
「いやいや!そこはお前の名前にしろよ!」
冗談だよと言って改めて名前をユウトにする。基本的にこういう時は自分の名前と誕生日と決めている。もちろんオンラインゲームのときは別のものが使うが、今見てるのは気心の知れた友達だ。問題もなにもない。
一通りキャラクリを終えると決定キーを押し、また部屋のシーンへと戻る。レトロゲームとあってキャラの見た目を変えると言ってもそれほど自由度があるはずもなくものの5分くらいで終えてしまったはずなのだが、賢二はやけに俺に似ていると笑う。失礼なやつめ。誰の顔がシンプルな作りをしているのだ。
少し不機嫌になりながらも序盤ストーリーを進めていく。
どうやら最初は母親から隣の村へのお使いをこなすようだ。
「子どもとは言え、魔物がいる世界に一人で隣村まで行けって結構鬼だよな。」
「まぁ、そうでもしないと村の外にいくことなんてないんだろ?」
俺よりも賢二のほうがよっぽど配信者に向いているのではないか?
そう思って進めていると思わぬ敵に遭遇した。
エンカウントを知らせるシステム音と共にBGMが切替わり、暗転。そして目の前に現れた敵とそのテキストに思わず目を疑った。
【魔王が現れました。】




