表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
88/96

Page 86 二人の王

魔王達が案内されたのは普段は晩餐会など交流の場として利用される大広間であった。


扉を開くと2つの長机といくつもの椅子が対面するように置かれ、その近くにガレオン王が立って待っていた。


「遠路はるばるようこそおいで頂きました。魔王様。」


王とその臣下が深々と頭を下げ、出迎える。そしてゆっくりと姿勢を正したのち、向かいの席に案内しお互い向き合って席についた。


人類側はガレオン八世と大臣を含めた8名。そして魔王軍は魔王と五皇臣とレラ、ザルディン。そしてレイノルフとビバロの10人であった。

真ん中の席には互いの王が対峙し、いよいよ戦後の処遇を決める会議が始まる。


先に動いたのは魔王であった。

座ってから少しの沈黙の後、ガレオンを見据え、ゆっくりと口を開いた。


「まずは我らの降伏勧告を受けてもらったことに感謝する。そしてこの場で謝罪させてもらいたい。」


何を謝罪するというのか……

ガレオンは一縷の怒りを覚える。

戦争において勝者が敗者に謝罪するなど聞いたことがない。悪いことをしていると自覚しているのならはじめから戦争などしなければ良い。しかし彼ら魔王軍は戦争と言う手段を用いて世界を手中に収めた。ならばそれは勝者の驕りであり、敗軍の長であるガレオンを辱める言葉。

謝罪をするというのなら今、この場ではない。


「何を謝罪されるというのか?」


その問いには隠しきれない怒気が混じる。王としては失格であろうが、その気持ちを汲み取ったのか、改めて魔王が言葉を続ける。


「ガレオン王よ。そなたを嘲る意図などないことを理解していただきたい。我が謝罪したいというのは目的のため、止むなくこのような手を使わざるを得なかったことを謝りたいのだ。」


「お言葉ですが、目的というのは一体?世界を支配するためならば武力を使うのは決して間違った方法ではないかと思うのですが…。」


このまま王に話させて事態が悪化することを恐れた大臣が慌てて二人の会話に割って入る。本来なら無礼に当たる行為であるが、ガレオンは大臣の気持ちを汲み取り、諌めることはしなかった。


「うむ。まずは我の話を聞いてもらいたいのだが、その前にこの本を見てもらいたい。」


魔王から差し出されたのは一冊の本であった。机の端に座っていた一番若手と思われる人類側の家臣が魔王に近づき、一礼し、その本をガレオンに手渡す。

ガレオン達は警戒しながら目の前に置かれたソレに注目する。


確かに本のようではあるが、自分たちの知っている本とは表紙からして異なる。

もしや魔王軍の用意した呪物かと怪しんだが、今更この場に来て呪いをかける意味など無いと判断したガレオンはゆっくりと表紙をめくる。

初めての手触りを指で感じながら開いたそのページには見たこともない文字と鮮やかな色で描かれている挿絵が載っていた。


「魔王様…。この本は一体…?」


「うむ。それは我と戦える者生み出す為の本である。」


その言葉に人類側の陣営は互いに顔を見合わせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ