Page 79 葬られた真相
「レイノルフ、聞かせて。何があったのか。」
沈黙の中、レラがきっかけを作る。それに促されるようにレイノルフが口を開いた。
「わたしは当時、先代の補佐として仕えていた。もちろん、レラさんが抗議に来た時も側で聞いていたが、それを突っぱねる先代に違和感を感じたわたしは独自に調査を起こったのです。」
「違和感ってのは…?」
アレスが問い、レイノルフがアレス達を見渡し答える。
「先代の様子は人とドワーフたちと交流を重ねていく中で、自分達の地位を上げることに尽力されていた。それに関しては問題視していなかったが…その方法がマズかった。先代は裏社会のものと付き合い始めたのだよ。」
レイノルフの話しはこうだった。
先代の長、ダウスティンは当初は人族の貴族や王と関わりを持とうとしたが、上手くいかず、またドワーフとの交渉も難航した。
そして焦った先代は裏社会の者と通じ始め、権力者とのつながりを作り始めたということだった。
そしてその見返りとしてエルフの持つ魔力操作とドワーフの製造技術を合わせた魔道具を製造し、それを彼らに流すというものだった。その魔道具には便利になるものから武器まで幅広かったという。
また、先代にとって想定外だったのは彼の一人息子だったティリエルがそんな裏社会の人間と交流を深めていったことだった。
ティリエルは積極的に彼らと共に悪事を働いていた。もう彼は止まることを知らなかった。
ティリエルが次に考えついたのが、ダークエルフを捕まえ、売るということであった。
その商品を調達するため、ティリエルから村の場所を聞き、襲撃したが、想像以上の抵抗に遭ったので止むなく被害が出たということだった。
さらに悪いことにこの事件の黒幕が自身の息子だと知った先代がこの事件を揉み消そうと動いたというのが事の次第であった。
「それをどこで知ったの?」
怒りを抑えるような声でレラが問う。
「部下とともにその裏社会の人間共を調べ上げた。調査自体は簡単だったよ。エルフの魔法を持ってすれば人間が我々に隠し事などできないからな。」
「粛清したっていうのはどういうことじゃな?」
ここまで話を聞いていたザルディンが話の続きを促す。
「そのままの意味だ。全ての情報を元に前代表とティリエルに罪を償うように説得したが…まぁ。自らは嫌だということで私たちが手を下した。それだけの話だ。」
そして大きくレイノルフは息を吸い頭を下げた。
「レラさん。遅くなってすまない。謝って済む問題でないことは分かってる。」
「どうしてすぐに今のこと話さなかったの?」
レイノルフはゆっくり顔を上げも一呼吸置いたあとに答える。
「先代とその息子がやったこととは言え、エルフとダークエルフに既に溝が深まった状態で説明したとしても感情を逆撫でするだけだと判断し、その業を背負うことにした。だが…本当に…申し訳ない。」
「レイノルフが謝ることじゃないよ。そっか…。頑張ったんだね。今まで。」
その言葉のせいか、レイノルフの顔つきが穏やかになるのをアレス達一同は見逃さなかった。




