Page 65 これからのこと
「それにしても。なんだかすごいことになったなあ。」
再び椅子に座り、シュバールが笑う。
他の者も緊張が解けたように笑顔が漏れた。
「ええ、トルアーラのおかげで文字の解読もかなり進むでしょうし。それにセルケト様という強力な…。そういえば、どうしてレラは今までしゃべらなかったの?」
カシミラがレラのほうに視線を送るとこちらはこちらで顔が緩んでいた。
「いやさ?ゴウグからは神代文字?のこととメレーナから結婚のこと、口止めされてたからね。はぁ疲れた。」
レラは現地でゴウグから神代文字の報告を受け、この会議にトルアーラを出席させる手はずを整えるよう頼まれ、そしてザルディンがいない為、メレーナから結婚のこととセルケトを出席できるようにお願いされたので誰よりも二つの重要な情報を得たレラは両方から口止めされていたのだった。
「すまなかったな。レラよ。神代文字のことは魔王様に直接報告したかったのだ。」
「こっちもセルケト様がどうしても自分で発表したいっていうもんだから。ごめんね。」
「もういいよ。両方とも良い報告だったんだし?わたしも頑張った甲斐があるというもんだよ。」
レラは机に突っ伏すような状態から答え、そして何かを思いついたかのように顔を上げ、魔王に問いかけた。
「あのお。魔王様?トルアーラとセルケト様はどういう扱いになるんですか?」
「うむ。セルケトには魔王城に住んでもらい、ザルディンが帰り次第そちらを手伝ってもらう。そしてトルアーラに関してはゴウグに一任してある。」
「そういうことじゃ。レラ、これから世話になるのじゃ」
「か、かしこまりました!」
セルケトがレラを見つめながら言うと、背筋を伸ばし、敬礼する。
「で、この後俺たちはどうすれば良いの?」
ワダツミが魔王に問う。
「うむ。ザルディンよりやってもらいたいことを聞いておる。」
このあとの作戦は残った土地の修整後、シュガールの勢力は資材の運搬。ワダツミは環境の管理。カシミラは引き続き魂の保護。メレーナは洞窟などのダンジョンの整備、そしてゴウグはトルアーラと共に街づくりを伝えられた。
「これからも我のために力を貸してほしい。よろしく頼む。」
各々が快諾し、今回の会議はお開きとなった。誰もいなくなった部屋に魔王が一人窓から見える月を眺める。
「魔王ウォルザークか…。異世界の魔王よ。この名前、しばらく借り受けるぞ。そして敗者ではなく最強の名としてお主にいずれ返そう。」
魔王は立ち上がり、寝室へと向かった。




