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「本当に稀なことですじゃ、時折、魔力の歪みによってこの世界とは別の世界、つまり異世界と繋がることがあるんじゃが、そこを通って来たモノと考えられますぞ。」
ザルディンはこれまでの謎に納得が言ったという顔で話す。
「なるほど。つまりこの本は異世界の本ということか。お前が言うのだから間違いないのだろう。だが、異世界からのやってきたものとしてこれが物語であるということを否定するものではなかろう。」
魔王は自分の言葉に対する反論を待った。恐らくそれが魔王が最も今、聞きたい言葉なのだから。
「この本全体を見たときに。文字は読めませぬが、挿絵を含め、英雄譚のような物語にしてはあまりに細かいのです。」
「細かいってどういうことよ?」
レラもザルディンの話しを急かす。
「無論。異世界の絵本がこのような書き方が一般であるというのなら話が別ですが。この世界における物語の本の書き方を考えると…レラよ。この本を絵本だと思ってページをめくってみるのじゃ。」
レラはザルディンに言われたように幼少を思い出し、絵本のつもりでページをめくる。
「レラよ。どうだ?」
魔王も心なしかソワソワとしながらレラを見守る。
「うーん。私が子供なら確かに絵は良いんだけど。文字がいろんなところに書いてあって読みにくいかな。」
「そうじゃろ?ならこのページを地図として見てみてくれ。」
するとザルディンはあるページを開いてレラに再び渡す。
「あっ!たぶん絵からすると洞窟だと思うんだけど、どこに何があってどの出口に行くとどこにつながるかすごく分かりやすい!」
「まことか?レラよ!」
レラの感想に思わず魔王は椅子から立ち上がり、レラの横へと駆け寄って本を覗いた。
「ふむ…ふむ。たしかに…。おそらくこれは宝箱か?しかしこの宝箱の横には魔獣ミミックに似た絵が…つまりこの宝箱は罠ということか。なるほど。」
魔王の眼差しは少年そのもののようであった。気づけばレラと魔王の後ろにはさっきまで殺気立っていた配下も興味津々の様子で連なっている。
「洞窟の他、街や禍々しい遺跡の地図もつけられております。しかも、本の後半には武器のなどの道具や魔獣や魔物のような一覧。そしてその横にメモが書かれております。そして明らかに我々が知っている紙よりも丈夫な素材で作られている。…つまり。」
「「「つまり…?」」」
ザルディンの推察を聞くため、魔王一同が息を呑む。
「最後に人の剣士が巨大な魔物に剣を突き刺し勝ち誇っている絵から察するに、これは異世界の勇者が魔王を倒すまでの道中で得た情報をまとめた日記のようなものではないかと結論づけます。まぁ、魔王討伐への道といったところでしょうな。」
その言葉に魔王は歓喜し、配下一同はブチ切れる寸前であった。




