Page 58 ティータイムじゃ
「なあにが『久しぶり』じゃ!ワタシの楽園をこんなにして!!」
小屋から出た少女は怒りながら魔王に駆け寄り、魔王を見上げながら怒鳴る。
「許せ、セルケトよ。それにこうなったのはお主の攻撃の凄まじさが起こしたことではないか。」
「違うわよ!あなたがここへ来なければこうならなかったのじゃ!」
「あのう?この方がセルケト様なのですか?」
大人と子どものような喧嘩にメレーナが割って入る。すると魔王が手でセルケトを制しながら話し始める。
「ああ。間違いなくセルケトであるな。それ故、先程までの戦闘にいた魔力の塊をセルケトと呼んでいた為、姿を変えたのかと思った次第であるぞ。」
魔王は懐かしむように手の先で暴れるセルケトを見る。
「つまり、俺達が知ってる姿ってずっとあの人形みたいなやつで、本当の自分は島どころかあの小屋から表にも出できてなかったってことなのか?」
「何じゃ悪いか!?そうじゃ!この島に来てから千年近く出てなかったが!?お前達に迷惑でもかけたのじゃ!?」
どうやら今のセルケトには全ての言葉が地雷のようであった。三人はセルケトが落ち着くのを待ってまた話の続きをする。
「悪かったのじゃ。ちょっと取り乱したのじゃ。久しぶりに自分以外と話したからな。許せ。」
ようやく落ち着いたセルケトは三人を小屋に招いた。外観からは想像もできないくらい広い空間が広がっていた。
「ちょっと待つのじゃ。」
セルケトが両手を振ると椅子と机が現れ、そこにセルケトが座る。
「では、失礼するぞ。」
魔王も出てきた椅子に座り、メレーナ達も続く。
「罠かもしれぬと疑わず躊躇なく座りおって…はぁ…。」
「どうしたのだ?セルケトよ。」
「なんでもないのじゃ。」
セルケトがため息をつきながら指を鳴らすと飲み物と簡単なお菓子が現れる。
「一応この島の主としてもてなそう。まぁ、この島ももうワタシのモノではないのじゃがな。」
「セルケト様。ではこの島をお渡ししていただけると?」
「そうと言っておろう。なんじゃ?信じられんか?」
「そりゃあそうだろ?そんなあっさり渡すなんて。ていうか、そもそもなんであんたはこの島に1000年もこの島に引きこもってたんだ?」
ワダツミの言葉にセルケトの顔が赤くなるのをメレーナは見逃さなかった。それは怒りというよりも恥ずかしそうな顔であった。
(これは…まさか?)
メレーナは横に座る魔王の耳元でつぶやいた。
「魔王様。失礼ながら、セルケト様と一体何があったのでしょうか?まさかとは思いますが…セルケト様とその…恋愛のような…」
魔王はしばらく考える素振りをする。そして何かを思い出したように。手を叩いた。
「そういえば…結婚を申し込まれたな。」
その言葉でセルケトの顔がさらに赤くなる。




