Page 56 魔王降臨
「なぜお前がここに…!」
セルケトは奥歯を噛み締め、魔王を睨む。
「……ん?おお!お主がセルケトであるか?」
その言葉を聞くとセルケトの顔が赤くなった。そして島ごと姿を消して逃げようと魔法を発動したが何も起こらなかった。
「無駄ですわよ。あなたに悟られないように私がこの島に来てから時間をかけてゆっくりとこの島に封印術を施しましたわ。」
何度か魔法を発動させたが、その言葉通り、島はこの場所に固定され、何も起きず、セルケトはメレーナを睨む。
「ワタシも魔力探知をするべきだったわね。」
悔しそうに声を振り絞ってセルケトは答える。しかしここで悔しがっても状況は変わらない。セルケトは次の行動に移る。
「魔王が出てきたのは想定外だわ。でもね…ここはワタシの庭なのよ。ここでならワタシの方が分があるのよ!」
埋め尽くしていたセルケトがいくつかの塊へと合体し、巨大なセルケトが何体も現れ、丘が音を立てて崩れ、平地となり、双方対峙する。
「ほお…。これは人間達より楽しめそうであるな。」
魔王は立ち塞がる巨大なセルケト達を前に笑みを浮かべる。
2体のセルケトが魔王に飛びかかり殴りつける。しかしその拳はいとも簡単に両手で受け止められ、押し返される。
「力は…悪くないぞ。」
二人を握りしめながら空に舞い上がり、二人をそれぞれ、地面に向かって雑に投げ捨てると大きな音を立てて、地面から見上げていたセルケト達と衝突する。
「さあ、かかってくるがいい!」
投げ捨てたれたセルケトを含め、立ち上がった彼女達は背中から翼を生やし、魔王と同じく宙に浮かぶ。
「魔王。アンタが調子に乗るのもここまでよ。」
複数のセルケトが魔王を取り囲むが当の本人は何が起きるのかワクワクしているようである。
「これならどうかしら?」
上下左右を取り囲む彼女のうち、一人が殴りつけるとそれをまた受け止めようと手を出す。すると今度は後ろから蹴りが襲い、それも足で防ごうとすると今度は真上から踏みつけられ、それ避けると下から突き上げるようなパンチが来る。
「ほおほおほお…なるほど。」
魔王は休む間もなく四方八方から攻撃を受けるがその全てを最低限の動きで避け続ける。
「まるで暴力の嵐の中にいるようだ!」
必死に攻撃するセルケトとは裏腹に魔王は笑顔でその中心で踊る。
「こんなのじゃ…あなたは倒せないわよね。」
その中の一人のセルケトがつぶやくと、突然、その囲いの一方が開く。
「ふむ。あれは何であろうか?」
避けながら魔王が目を凝らすとそこにはさらに大きく、丸々と球体のようなセルケトが見える。
「これならどうかしらね!!」
魔王が視認すると同時にその玉セルケトは魔王に向かってすごい速さで向かい、爆発を起こすとそれに連動するように魔王に攻撃を続けていたセルケト達も誘爆。その威力は数十km離れた港街まで衝撃が届くほどであった。




