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Page 53 正体見破ったり

「そうですか?ではお言葉に甘えて…【ゲイルブレイド】!」


メレーナは長い呪文の詠唱を必要としない魔法の中で最大の攻撃魔法を放つ。それもかなり大げさに手を振りかざし、大声で。

セルケトはメレーナから放たれる空気の刃に集中する。それを確認して彼女は片手を地面に向け、呟くようにもう一つの魔法を使用した。


「【マナディテクション】」


そして風の刃を放つ。セルケトは見極め、上半身を仰け反らせたが、刃は少し体をかすめて後方にあった木々をなぎ倒した。そしてすかさずセルケトはメレーナに対して突風を繰り出したが、彼女は地面から土の壁を作り出し防御する。


「そんなんじゃワタシを倒せないわよ?…ん?あなた…探知の魔法を使ったのね?」


セルケトが初めて苦い顔をする。そしてその顔がメレーナの疑問の答えに確信を持つこととなった。


「ええ。おかしいと思いましたからね。でもこれで分かりましたわ。目の前のセルケト様は本物ではありませんわね。」


探知の魔法は本来の使い方としては姿を現さない敵に対して使用し、居所を探ることに使う。よって目の前に敵がいる場合は使おうなどと思わなかった。ただ、あまりに不自然な様子にメレーナは試したのだった。それもただの探知魔法ではなく、反応のあったモノの魔力など詳細に調べられる高度なものだった。

その結果、目の前にいるセルケトは簡単に言うと魔力の塊であり、そこに生物としての機能は何一つ備わっていなかった。


「思い返せば…先ほどワダツミさんの攻撃を受けた時、切断面に生き物としての痕跡はありませんでした…迂闊でした。あの時はそういう魔族なのだと思い、そこまで考えが及びませんでした。」


「なるほどね。もう少し生き物らしくするべきだったのかしらね?」


「それだけじゃありません。セルケト様の戦い方も不自然でした。使う魔法も私が使い、そしてその身に受けたもと同系統のものしか使っていない。基本的に私との魔法の撃ち合いでは常に後手に回ってましたから。」


セルケトはため息をつき、腰にその立派な両手を置く。


「素晴らしいわね。そこまで見破る…いえ、ワタシのミスね。そんな基本的な事に気を使えなかったのだから。でもね?それでワタシに勝つ算段もついたのかしら?」


セルケトは再び挑発的な笑顔を見せるが、メレーナも同じく笑顔で返す。


「いいえ。あなたに勝っても意味ないですから。魔力探知で今、目の前にいるあなたにワダツミさんともう一人のあなたとそして…もう一つ…強大な魔力を検知しました。私を含めても及ばないほどの巨大な魔力を持っているモノを。」


その言葉にセルケトの眉間が少し動く。


「さっきまで屋敷のあった付近にその反応はありました。そこにいるんでしょう?セルケト様。」


メレーナの前にいるセルケトの目を通して本物のセルケトが暗がりの中で苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

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