Page 52 違和感
メレーナとワダツミはセルケトとそれぞれ別々の場所で同じ相手との戦闘を続いていた。
メレーナは魔法を撃ち合い。ワダツミは格闘による戦闘。そのどちらもお互い決め手を欠いていたのだった。
ワダツミ側のセルケトは姿を現してからそれまでの一撃離脱の戦い方から堂々と正面から徒手空拳で立ち向かい、ワダツミは槍と水のを駆使して対抗する。
メレーナとセルケトは魔法を派手に打ち合い。その音はワダツミに聞こえるほどであったが、こちらのほうが分が悪いように見える。
メレーナが得意とする大地を操る魔法と毒に関する魔法。地面を流砂に変えたり、毒沼を発生させ、自分に有利な地形を作り出し、それから戦うのがメレーナの基本的な戦闘スタイルなのだが、セルケトはその不利をものともしなかった。
即効性、遅効性。麻痺系に細胞破壊系、はたまた特定の種族にしか効かない毒など様々なものを浴びせたが、どれも効果はなく。大地の魔法でセルケトの動きを封じ攻撃魔法を食らわせても一時的なダメージを与えることはできてもすぐさま反撃されるような状態であった。
そして動きを封じてからまた神雷のような大魔法を撃つための準備をするため距離を開けてもどこからか急にセルケトが現れ妨害されるといったことを繰り返していたのだった。
(おかしいですわね。)
メレーナが違和感を覚え始めたのはそんな繰り返しの中であった。
(毒の耐性があって効かないのは分かりますけど…いくらなんでも他の魔法がここまで効かないのはおかしい。それに急に現れるあの現象…何か引っかかりますわね。)
メレーナは攻め方を変える。今までこちらから魔法を仕掛けていたのを今度は迎え撃つ方法にしたのだった。その様子にセルケトも彼女の思惑に気づいたのか動きを止める。
「どうしたのよ?ほら、ワタシは逃げも隠れもしないわよ?」
両手を広げセルケトはメレーナを挑発する。それでも彼女はそれに応じずセルケトの様子を伺っているのだった。
「それを言うならセルケト様こそ魔法を撃って来てはどうです?さっきから私の使った魔法を…」
そこまで言ってメレーナは一つの違和感の正体に気づく。そう、セルケトの反撃の魔法はセルケト自身が受けたメレーナが使った一つ前の魔法と同じ系統のものを使っていたのだった。
最初に攻撃を仕掛けたとき、メレーナはファイアボールを撃ち、そのあと炎の柱に飲み込まれたあと、セルケトは炎の魔法を使った。そしてさっきも神雷を撃ったあとにセルケトは電撃を放った。
そしてもう一つの違和感を思い出す。
どうして彼女に毒が効かないのか…。
この二つの疑問の答えを見つけるため、メレーナは一つの魔法をそっと使用するのだった。




