Page 50 分身くらいできなくてどうします?
電気系統最高の魔法は浜辺を消し、島の形を変えるには十分であった。
二人の王による最大級の物理と魔法の攻撃により浜辺だけでなくセルケトの姿もどこにも無かった。
突如地形が変わったことにより、海が大きな波を立てて新しくできた岸壁にその身をぶつけ、しぶきを上げる。
「本当におわったのでしょうか?」
メレーナはもうすでに海に飲み込まれた戦場を見つめる。
「ああ。あれほどの攻撃をまともに受けたのだ。いくらセルケトと言えど耐えられぬだろう。」
相変わらず無表情のまま青年体のワダツミも同じ場所を見つめる。
「じゃあ。この島もササッと消しちゃいましょうか。まだまだ他にやらないといけないこともありますし。」
「そうだな。せっかくこの姿になったことだし久しぶりにほかの技も使って島を消してみようか。」
「あら?他に技があるの?その技も受けてみたいわね。」
ワダツミとメレーナの二人はとっさに振り返るとそこにはここで会った時と同じビキニに派手なシャツを着たセルケトが何食わぬ顔で立っているのだった。
「なによ?まるで幽霊でも見るような目なんかしちゃって?あっ、幽霊はカシミラのところで見飽きてるんだっけ?」
キョトンとした顔で二人を見るセルケトに対してワダツミは無言で槍をその顔に突き刺すがそれをセルケトは後ろにステップしながら避ける。
「セルケト様…生きてらっしゃったのですか!?」
メレーナの声に焦りが見える。それはワダツミもであった。
「アレを受けてまだ倒れぬか。」
「いや〜。このワタシもやられるかと思ったわ。さすがに五皇臣二人が相手となると防戦になっちゃうわね。だから…」
セルケト身体が右半身と左半身に分かれ、それぞれが残りの半身を作り出すとセルケトが二人に分裂したのだった。
「「ここからワタシがお相手するわ」」
片方のセルケトがワダツミを蹴り飛ばし、それを追っていき、残ったもう一人がメレーナと対峙する。
「さあ、メレーナ。女同士仲良く戦いましょう?」
「ええ、望むところですわ。」
メレーナは距離を開けてセルケトの足元を流砂に変え、自由を奪ってからファイアボールを浴びせた。
「やっぱり昔のほうがあなた…強かったんじゃない?」
炎に焼かれながら挑発するセルケトに対してメレーナは黙々と火球をぶつけ続ける。
「セルケト様もしぶといですわよ?そんなことでは殿方に振り向いてもらえないのではありませんこと?」
「いいこと?メレーナ。よく覚えておきなさい。いい女はね。向こうが勝手に振り向くのよ!」
セルケトが叫ぶと燃え盛る炎の中から雷撃がメレーナの腹部を襲う。
「顔はやめておいてあげたわ。感謝しなさい。」
雷撃を放った主が炎を吸収しながら微笑むのであった。




