Page 48 晴れところにより、槍
巨大な水の刃がセルケトに向かって放たれた。彼女は避けようとするものの足が砂浜に埋まり上半身しか動かすことができなかった。そして…
一つは何とか避けたもののもう一つは身を横にした際にセルケトの右腕が切断。そして鈍い音を立てて地面に落ちる。
しかしまだ、二人の攻撃は終わらない。
「サンドバイパー!」
メレーナが叫ぶと砂が集まり始め、大きなヘビの形となっていく。
そして砂でできた瞳でセルケトを捉えると口を大きく開け、その身に食らいつく。そしてその勢いのまま岩壁へと激突させ、砂の蛇は消え去った。
衝撃による砂煙が晴れると腕を失い、噛まれた横腹は抉られ、その場で力無く座り込むセルケトの姿があった。
(倒したのか…)
ワダツミとメレーナの2人は一瞬警戒心を解きかけたが、その姿を見て、再び構える。
なぜならセルケトの身体からは血の一滴も出ず、その断面はまるで粘土の塊を抉ったかのように内臓も何もなかったからである。
「ずいぶん用心深いのね…。近づいてきたら不意打ちの一つでもかましてやろうと思ったのに。」
セルケトは左手を支えに立ち上がると二人に笑みを見せる。すると失った身体の部位があっという間に再生され、破損した鎧も元に戻っていく。
「二度も同じ手は食らわない。」
ワダツミが新たな水刀を海から生成する。それも今度は二つではなく何十もの刃をその背に出現させ、メレーナも自らの周りに大小、いくつもの砂の蛇を作っている。
「セルケト様も本気で戦ってくださいませんと本当に死ぬことになりますわよ。」
メレーナの手に力が入る。それでもセルケトは余裕を崩さない。
「嫌よ。そんなダサい真似しないわよ。本気でっていうなら先ずはあなた達から見せなさいよ。」
そう言ってセルケトは身体についた砂を手で払う。
「そうか。ならば死ぬがいい。」
ワダツミは手を振ると全ての水の刃がセルケトを襲う。普通ならこれほどの量を受けると細切れになるはずであったが、そうはならなかった。
「同じ手はこちらも効かないわよ?」
突然、セルケトの目の前に炎の壁が現れ、水の刃がそれに触れると白い蒸気を発生させながら消えていく。
しかしその後ろから間髪入れずに砂の蛇が襲いかかる。
「はあああ…。ふううううう!!」
セルケトは大きく息を吸い込み、吹くと、それはまるで突風のようになり、蛇たちは崩れ、砂に戻りかき消されていくのだった。
「はああ!!」
槍による一撃でその突風を切り裂き、今度はワダツミが自ら二本の槍を構え突撃する。
そして連続の刺突を繰り出した。




