Page 47 哀れむんじゃないわよ
気がつくと島にいるのはこの島の主、セルケトとその島を渡すように迫る海王と蛇王の三人のみ。
先ほどまでの喧騒はなくなり、響くのは波の音とこの島特有の鳥の鳴き声だけとなった。
「ワタシが一人で生きるには寂しすぎるでしょう?」
二人を出迎えた時より数倍に大きくなり、いつの間にか女戦士のようなライトアーマーを身に着けたセルケトがニヤリと笑う。
二人がどう返していいか迷っていると三人の間に微妙な空気が流れる。
「な、なによ?ワタシを憐れんでるってわけ!?」
初めてセルケトが動揺を見せた瞬間かもしれなかったが、メレーナは慌てて弁明する。
「そんなことありませんわよ?ただ、その…一人で…あ、いやその。」
「セルケトよ。悪いことは言わぬ。俺達と共に魔王様の覇道を歩もうではないか。」
無表情のままのワダツミの声にもどこか諭すようであった。
「いやよ!魔王の下に下るくらいなら隠れ続けてやるわ!このワタシの楽園と一緒にね!」
セルケトは両足に力を込め、一気に駆け出し、一瞬にしてワダツミとの距離を詰め拳を叩きつける。
ワダツミはバックステップでそれを避け、セルケトを背に海岸へと走る。
「あら?逃げるの?じゃあまずはメレーナから…」
振り返るとメレーナも蛇行とは思えないスピードで海の方へと移動していた。
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「ここで決着をつけよってわけね。」
セルケトがゆっくりと歩いて海岸まで来ると二人が待ち構えていた。
「セルケトよ。最後にもう一度確認する。この島を渡せ。それ以上は望まぬ。」
「あなたもしつこいわね。嫌よ。何でもかんでも魔王の言うとおりになると思ったら大間違いよ。」
「セルケト様…残念ですわ。ではここで決着を…」
「ええ。そうしましょう。そろそろワタシのティータイムだわ。」
セルケトが構えると彼女の四方にワダツミの槍が取り囲み襲う。それを避けようと足を動かそうとすると動かない。
「逃がしませんわよ。」
メレーナが魔法によりセルケトの足元の地面を流砂に変え、自由を奪っていた。
四本の槍がセルケトを貫いたかと思ったが、彼女は両手で二本の槍を掴み取り、残った二本は背中で受けた。
「小癪な真似してくれるじゃないの。」
「まだまだですわよ。」
その言葉を聞くと同時にセルケトの体から力が抜ける。
「あら…これは毒…ね?」
メレーナはあらかじめワダツミの槍に自らが生成した毒を塗り込み。それが早くも効きはじめていた。
「ではこれで終幕としよう。」
セルケトがなんとか顔を上げるとワダツミの背中の海から二本の大きな水の刃が放たれる瞬間であった。




