Page 44 海の王…本気出します
セルケトの言葉で二人は席を立ち、臨戦態勢を取る。しかしセルケトは席に座ったまま動こうとしない。
「おやおや。どうしたのよ。早く攻撃の一つでもしてきなさいな。」
その挑発に乗ったのはワダツミであった。彼はどこからか出した三叉の槍を構え、投擲する。
“ガン!”
鈍い音がなったが、槍はセルケトに当たることなく、机の上にあった皿がその投擲を防いでいた。
「な…!!」
ワダツミの言葉にならない言葉が消えるより前に今度は部屋中の食器や蝋燭台などが二人を襲う。
メレーナは足さばきと身を捻りながら攻撃を避け、ワダツミはもう一本追加で取り出した槍で撃ち落とす。その様子をセルケトは席から動かず余裕たっぷりの表情で眺めるのだった。
「メレーナ!この食器どうなってるんだ!俺の槍でも壊せないなんて普通じゃねぇ。」
「私に言われてもわかりませんわ!とりあえずこの部屋から抜け出さないことには!」
「あら、もう少しゆっくりしていきなさいよ。」
セルケトが指を鳴らすと部屋にあったはずの扉は無くなり完全な密室となった。そして逃げ場のなくなった部屋の中で二人は攻撃を防ぎ続ける。
「どうしたのよ。それでも天下の五皇臣が聞いて呆れるわよ。」
その言葉が引き金となった。あくまで魔王の代理として来ていたワダツミは苛立ってはいたもののなんとか話し合いで解決しようとはしていたのだが、流石に五皇臣で最も短気なこの男は我慢の限界であった。
「メレーナ。悪いが作戦その2で行くぞ。」
「作戦その2なんてわたし知りませんよ!?」
「そんなの…ぶっ倒してこの島を貰うにきまってるだろ!?」
ワダツミは槍を宙に浮かせるとそこから水が湧き出しワダツミの身体をドーム状に包んだ。
「あら?一体何をしようとういうのかしら?」
セルケトが腕を振るうとメレーナに攻撃を仕掛けていたモノも合わせて全て水球に向かって飛んでいく。そしてそれに触れた瞬間、水球は弾け、食器や燭台は意思を失ったかのように地面に落ち、大きな音を立てて砕け散った。
「俺をこんなに怒らせたのはあの魔王様以来だ…覚悟せよ。」
水球から現れたのは鍛え上げられた上半身が裸で下半身には立派な鎧をつけ、頭に小さな王冠を載せた青い髪の壮年の男が現れた。
「それがあなたの本当の姿ってわけ?そっちのほうがワタシの好みよ。」
笑みを浮かべるセルケトに向けてワダツミは無表情に槍を投擲する。それを手で受け止めようとするが、槍に水がまとわりつきそれが竜巻のように螺旋を描き始める。
「あら。これはマズイわね。」
ワダツミは竜巻の槍を受け止め切れずそのまま壁に激突。そのまま壁を何枚か破り、3つほど奥の部屋の壁でようやく止まった。




