Page 41 愉快な島
霧を抜け、二人は島の沿岸にたどり着く。
その島は大きくもなく、小さくもなく、一つの町がはいる程度の島であった。ただ、他の島と違うことと言えば魔人が住んでいると言うことともう一つ。
「ここに来るのは何十年ぶりかしら。」
メレーナが島に降り立ち、続いてワダツミも桟橋に足を降ろす。さっきまでの霧が嘘のように晴れ渡り、太陽が顔を出していた。
「俺は初めて来たんだけどさ…メレーナ?昔からここはこうなのか?」
ワダツミの言葉に困惑の色が混じる。それもそのはず。浜はきれいに整備されたビーチであり、所々に小屋が建てられそこでは魔族たちがどんちゃん騒ぎをしている。
海の方にも目をやるとこちらでもお酒を飲んだり、ボールで遊ぶもの、食事をしている者など活気づいてた。
「ええ。私も昔、誘われて来たんですけど…当時とあまり変わってはいませんね。」
困惑するワダツミと苦笑いするメレーナを他所に魔族たちが騒ぐ中、そこから一人、露出度の高いビキニをつけた筋骨隆々の魔人が派手なシャツを羽織りながら酒瓶片手にこちらに近づいてくるのだった。
「おい…メレーナ。なんかこっちに来るんだけど。あのさ…アレなのか?」
「あ〜。そうですね〜。おそらくワダツミさんの予想は当たっていますよ。」
近づいてくるのにつれ、その女型の魔人の体格の良さがハッキリとわかる。
「あら?誰かと思ったらメレーナじゃない。男同伴でここへ遊びに来るなんて…あんたやるじゃない。にしても…」
魔人の視線がメレーナからワダツミに移る。
「まさかあんたが子供好きだなんてね。すっかり女にしか興味ないと思ってたから意外だわ。もしかして、この子…女の子だったりするのかしら?」
魔人は持っていた酒瓶を口に持っていき、豪快に飲んだあと、下品に笑い、メレーナの肩に手を回し絡んだ。
「お久しぶりですわね。セルケト様。ご機嫌麗しいようで。」
メレーナは両手でセルケトの腕を外し。ワダツミの方へ目をやると笑顔ではいるものの目は笑っていなかった。
「つれないわね。まぁいいわ。それでここへ何しに来たのよ?まさか本当に遊びに来たのかしら?それなら歓迎なんだけど。」
セルケトはどこか不満そうにまた酒を口に運ぶ。
「ええ、残念ながら私たちは遊びに来たわけじゃありませんわ。ちょっとしたお願いに上がったというところですわ。」
メレーナは取り繕ったような笑顔を浮かべる。その様子にセルケトも何かを察したのか警戒心を強める。
そして次に口を開いたのはワダツミであった。
「なあに簡単な話だよ。この島をよこせ。」
その一言にセルケトは拳を思い切りワダツミに叩き込むのであった。




