Page 39
「わかった。私の民が住むというのなら尚更住みやすいものにしないとな。ところで、何か計画書のようなものはないのか?」
トルアーラの問いかけに一瞬躊躇したが、ここで信頼を強固にしたかったゴウグは本に描かれていたページの複写を見せることにした。
「これを元に作っているのだが、未知の文字で描かれたもので我々も詳しくはわからないのだ。」
ゴウグは腰蓑に忍ばせていた街の挿絵が描かれている紙をトルアーラに見せた。
「現在、魔王軍の総力を挙げて解読中だ。だからもう少し待ってくれると具体的な…」
ゴウグが紙の説明をしていると彼女は静かに手でその言葉を制止、紙に書かれた文字をまじまじと観察する。
「これは…そうか。いや…。」
何やらブツブツと呟きながら紙とにらめっこをしている。そのあいだ、ゴウグは黙ってその様子を見つめる。
「どうやら、これは神代文字に似ているな。」
その言葉にゴウグは驚く。
「この文字が読めるのか!?それは本当か!?」
ゴウグがトルアーラの両肩を掴んで問い詰める。
「少し落ち着け!…全部が読めるわけではないが…。これは我が国に古来より伝わる神代文字に似ている。…ほらこれは多分【イベント】というのではないか?意味は全くわからんがな。」
トルアーラは地図に書き込まれた文字の一つを指しながら聞くがゴウグはそもそも答えがわからなかったので答えることはできなかった。
「すまないが。俺にも読めんのだ。だが、それが本当に読めるのだとしたら…。今すぐにでも魔王様に報告せねば。」
そしてゴウグはハッとしてトルアーラを見る。万が一、彼女が協力しないと言ったらどうなるのか。ゴウグは考える。それを察したのか彼女は笑って話し始める。
「心配するな。私はお前達に協力すると言ったであろう。ここに来てその言葉を覆すほど私は落ちぶれてはいないよ。だが…そうだな。少し条件をつけさせてもらいたいな。」
「条件とは?」
トルアーラの言葉を待つ間、ゴウグは息を呑む。
「私も魔王軍に入れてもりいたいな。お前から魔王に口添えしてもらえないか?無論。それで断られても私は協力しよう。ただ神代文字が書かれたこの紙…俄然、魔王軍が何をしようとしているのか興味がわいた。どうだ?」
トルアーラの思わぬ提案にゴウグは少し考え、それを受け入れることとした。
「わかった。魔王様にお前のことを聞いてみよう。だが、受け入れられるかは魔王様次第だ。それで良いのだな。」
「ああ。それで構わない。駄目であればお前の下で働くとしよう。私に二言はないよ。」
ゴウグはそれを聞いて夕日に差し込む部屋の床に座り込むのだった。




