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Page 34

「どうした左軍!途切れなく攻撃をし続けろ!右軍!魔王の後ろに回り込め!」


マルスの指揮によって徐々にではあるがバラバラだった同盟軍に連携が生まれ始める。

はじめは全軍で突撃するだけであったが、魔王に吹き飛ばされるたびに軍として動き始めていった。

しかしそれだけであった。

ここでは死ぬことはない。だからどれだけ吹き飛ばされようが死ぬことはない。体の部位がなくなっても次の瞬間には何事もなかったかのように元に戻っている。


しかし…心までは回復することはない。


どれだけ苛烈に攻撃を仕掛けても魔王は一切意に返さない。


「魔法部隊!攻撃を止めるな!」


マルスの声が虚しく響く。それとは対象的に魔王を中心に轟音が響くが、魔王は一切怯むことはない。

マルス達の目には笑顔で全ての攻撃を受け続け、反撃する魔王の姿が映り続けている。それは段々と恐怖という形で兵士たちに襲いかかる。


「どうしたのだ。さぁ、我を倒してみよ。」


魔王は両手を広げ同盟軍を挑発する。


「ふざけやがって…右軍後方部隊!突撃をかけよ!お前達は死なぬ!何としても奴を倒すのだ!!」


マルスの掛け声により何千という兵士が突撃をかける。砂煙を上げながらまるで砂嵐の塊が魔王を襲う。


「また一つ覚えのように…エクスプロージョン。」


魔王の爆発魔法が砂嵐を消し飛ばし地面には大きなクレーターが形成される。

魔王がそのクレーターに注目していると左右から新たに兵が自分めがけて攻撃を仕掛ける。


「爆発を目眩ましにして両脇に回り込んだか…。つまらんな…。」


魔王は少し残念そうに呟く。昔この手の攻撃は嫌というほど経験している。

避けるまでも防御するわけでもない。

魔王はその突撃を受ける。同盟軍も命の重さが軽いからか躊躇せずぶつかった。


金属がぶつかり合う激しい音と砂埃が軍勢と魔王を覆い隠したそしてそれらが晴れるとそこに立っていたのは魔王であり。挟撃をかけた者たちは立ち上がろうとしなかった。


「少々あの中は窮屈だったのでな。彼らには寝てもらったよ。」


魔王によって強力な睡眠魔法をかけられ同盟軍は戦力を削られた。そしてその光景を目の当たりにした他の兵士たちの足が止まる。


そしてその中にはマルスも含まれていた。


魔王がこんなに遠い存在だとは思わなかった。自分の剣も届くと信じていた。しかし目の前にいる男はそんな生易しい存在ではなかった。

剣は届く。しかしそれだけ。どんなに労を尽くしても魔王を倒す答えは見つからなかった。そしてもう一つ、彼を絶望に追いやったのは魔王が全力を出していないことを理解してしまったからであった。それを知った時、マルスの手から静かに剣が地に落ちた。

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