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Page 32

「同盟軍の総司令はおるかの!?」


ザルディンは騒然とする兵士たちに向かって叫んだ。突然現れた老人に兵士達は警戒したがその中からほかの兵士達とは違った鎧を着た精悍な男が現れる。


「私が同盟軍総司令。アレス=スロークだ。あなたは一体誰であろうか?そしてここは何処かご存知だろうか?」 


アレス自身も戸惑いはありつつも老人に丁寧に接した。自分は沿岸の防衛戦にてドラゴンの炎により死んだはず。

しかし今、自分が立っているのは夜の荒野。頼れるのは急に現れたこの老人しかいなかった。


「そなたが総司令官殿であるか。申し遅れましたな。わしはザルディン=ローグ。()()()で相談役をしている者じゃ。」


老人の思わぬ自己紹介にアレスは警戒心を強め、兵士達は戦闘態勢を取る者や怖気づく者など更に騒然となった。


「皆のもの!静まれ!!……。ザルディンと言ったか。魔王軍の手の者。お前も魔族と言うことか…ここは一体。俺達をどうするつもりだ!?」


アレスが語気を強め、ザルディンに問うと彼は微笑みながら答える。


「そうじゃの。何から話そうか…。まずはここはお主の言う通り、黄泉…つまり死者の国じゃよ。そしての…今からお主たちには魔王様と戦ってもらいたいのじゃ。なあに心配はいらぬ。お主たちが死ぬことはない。しかし魔王様を倒すことができれば生き返ることも可能じゃ。どうじゃ?いい話だとおもうがの?」


ゲームの説明をするようにザルディンは返答したが、唐突な話しにアレスを始めそれを信じる者がいるはずもなかった。


「バカにするのもいい加減してほしいものだな。真剣に答えないと言うのならお前を捕らえて尋問するまで…。コイツを捕らえよ。」


前にいた兵士達がザルディンを捕らえようと駆け寄りその手が彼にかかるかという瞬間、突如、衝撃が兵士たちを貫き、ふっ飛ばされ、大量の砂埃が舞い、アレスたちの視界を塞いだ。

砂埃が風に流され、視界が回復するとだんだんとその衝撃の正体の輪郭がはっきりとし始める。


「悪いが。ザルディンの言った事は本当である。我が魔族を束ね、五皇臣を統べる魔王である。」


アレス達は不思議とその言葉を真実だと受け止めた。

自分達が想像していたような醜い巨大な化け物のような姿ではなく。目の前にいる魔王と名乗る男は恐怖ではなく、威厳に満ちた姿をしており、気を抜くとそのまま膝を屈しそうになるのであった。


「お前が…お前が魔王なのか。」


「いかにも。ここへお主たちは集めたのは我と戦うためである。」


「そうか…。神はまだ我々を見放してはなかったということか…。魔王よ!ここをお前の墓場としてやる!全軍!魔王を殲滅せよ!!」


アレスの号令により兵士達は一斉に攻勢に出た。

歴史に残ることはない3万対1の戦いが始まるのだった。

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