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「カシミラよ。多忙のところすまないな。」
魔王は労いの言葉をカシミラにかけると彼女は顔を上げる。
「滅相もございません。魔王様がお越しくださったというのにお見苦しい姿でお出迎えしたことをお許しください。」
カシミラが再び頭を下げる。すると魔王は王座から立ち上がり、カシミラに近づく。
「許すも何も突然押しかけたのは我の方だ。何も詫びることはない。そしてそのような姿になるくらい、我のために働いてくれていることを嬉しく思う。」
その言葉にカシミラは深く頷く。臣下としてこれほど嬉しい言葉をかけてもらったことに感激しながら。
「あのう、すいません。そろそろ本題に進ませていただいてもよろしいでしょうか…?あっそれと追加の氷牢玉はあとでうちのものが届けさせますので…」
オルの言葉になお一層、カシミラは感激しそうになったが、自分を律し、気丈に振る舞う。
「ありがとう。オル、感謝するわ。では魔王様、このようなところまでどういったご要件で来られたのでしょうか?」
「うむ。ザルディンの護衛に人間をつけたいと思ってな。」
カシミラは魔王一行から事の次第を説明を受けた。また彼女からも質問を問う。
「なるほど…。それに関しては構いませんが。一体誰を連れて行かれるのでしょうか?現在、こちらには数多くの人間を保護してますが、我らの言うことを聞いてくれるような人間でなおかつ屈強な者となるとなかなか…。」
それに答えたのはザルディンであった。
「カシミラ様。ここには同盟軍の人間とその指揮官となる者はどれほどいらっしゃいますかな?」
思わぬ答えにカシミラは一瞬言葉に詰まったがすぐに部下を呼んだ。
「ベレト。今、人間の兵士はどれくらいいるかしら?それと指揮官も。」
ベレトと呼ばれた執事のような真っ赤な燕尾服を着た男装の女性型の悪魔がカシミラの影から現れ手元にある羊皮紙の束をめくり始めた。
「はい。それでしたら…。現在人間の兵士は第4区画にて13万人ほどですね。その中に指揮官は200名ほど…ああ、最近、同盟軍の総司令官も保護し、現在凍結してますね。」
ベレトは一通りの報告を終えると軽く頭を下げる。それを聞いてザルディンは微笑む。
「なるほど…なるほど…。これはいい話を聞かせてもらいましたのじゃ。ではその総司令官と兵を3万ほど借り受けしたいのじゃがよろしいか。」
それを聞いて驚いたのは魔王であった。
「ザルディンよ。総司令を連れて行くのは分かるが、兵を3万も連れて行くのはさすが多いのではないか?確かにそれほどいれば我としても安心であるが、それほどの数を御主が御することなど難しく逆に窮地に立たされる可能性も。」
「左様でございますじゃ。故に…魔王様。このワシの為に少しお力添えをしては下さいませぬか?」
その提案に魔王は内容も聞かず。了承するのだった。




