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「ま、魔王様!!」
ファンとハヌマンは慌てて膝をつく。そしてゴウグは手で顔を覆った。
「良い。面を上げるのだ獣の族長達よ。我の為によく働いてくれている。」
その言葉に二人はうなずき、ゆっくりと立ち上がる。魔王の後ろではレラが言葉を発さず何度も獣王に謝罪するジェスチャーをしていた。
このレラという少女はダークエルフという種族の長であり、見た目とは裏腹に魔王軍ではウタカタに次ぐ年長者ではあったが、見た目とその言動により実年齢の割には接しやすいのだが奔放で抜けたところもある。
「それで…我が主よ。今日はどうされましたかな?」
ゴウグはレラから魔王に目を向け、いつもの威厳のある低い声で魔王に尋ねる。
「うむ。先程も言ったが我のために働いてくれている者達を労うのと現場の進捗を自分の目で確かめるためにな。」
「そそ!それで俺のところに来てくれてさ!次はレラとゴウグの所に行くって聞いたんでついてきたんだ!」
金髪の青年、竜王シュガールが弾けるような笑顔を見せる。後ろには申し訳なさそうに黒髪の美女、ソラリスが申し訳なさそうにこちらに頭を下げる。
ゴウグはソラリス達もシュガールの言動に振り回されているのだろうと心の中で彼女らを労った。
「そうか。で?シュガール。そちらの仕事は終わったのか?終わったのなら我々も拠点を動かしそちらの開発に向かう準備をせねばならないからな。」
ゴウグの質問にまたもやシュガールが笑顔で近づき肩を組んできた。
「聞いてくれるかい!?いやー。ゴウグにも見て欲しいもんだ!あのカーブ…そして特徴的に突き出した岬…そりゃあもう完璧だ!なあ?ソラリス?」
突然話を振られたソラリスは少し苦笑いする。その様子からゴウグは何かを察した。
「そうか。しかし以前、お前が自信満々に慣らしたといった荒野はガタガタであったぞ?甲獣族が余計な作業もする羽目になって予定が3日ほどズレたのだ。本当に大丈夫なのか?」
「あ?あれ?そうだっけ?まあ次は大丈夫だからよ!な?」
シュガールは大きな高笑いを見せ、ソラリスはまたもや申し訳なさそうな顔をする。
「まぁいい。部下達はよくシュガールの命令で動いてくれている。それに免じてやろう。」
その言葉にソラリスはすごい速さで首を上下させた。
「ハッハッハ。やはり臣下たちのやり取りを見るのは良いな!これを見れただけでもここへ来た甲斐があるというものだ。それでゴウグよ。多忙だとは思うが東部の都市の開発の様子を見たいのだが。良いか?」
「それに関して一つ許していただきたいことがあるのたがよろしいか?」
ゴウグは人間たちを借り受けたい件を魔王に話すと快諾された。
「良いぞ。この魔王が許そう。また、これより現場でのことはゴウグ、お主の判断で事を進めれば良い。お主であれば誰も文句など言うまい。では東部の街を見せてもらうとしよう。」
そう言うと魔王はテントから出ていき、ゴウグもあとに続いた。
「じゃあ俺も帰るか!レラ、近くまで送っていくぜ!」
「助かるよー!じゃあね!ファン!ハヌマン!」
シュガールとレラ、そしてソラリスがこちらに軽く会釈し、三人も飛び去った。残された二人の族長は少し休憩を取ることにするのだった。




