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ドラゴンの王、シュガールは自分の仕事ぶりを自画自賛するがごとく、アイシュベルクの沿岸部つい先程まであったエレノア岬跡の上空を旋回する。
「どうだソラリス!このカーブなんて美しいものだろう?」
「さすがでございますシュガール様!しかし…なぜあれほどまでに沿岸部を執拗に攻撃させるのですか?すでに奴らの防衛戦は崩壊。内陸部に攻め込めば奴らなどひとたまりもありますまい。」
沿岸線を惚れ惚れと見渡す黄金のドラゴンのとなりに漆黒のドラゴンがゆっくりと近寄り当然の質問を問う。
「ああ?そりゃこの地図通りにするからさ。ほら!えっと…ここ。ここ。」
黄金のドラゴンことシュガールは手に持った小さな紙切れの一部分を巨大な爪で指す。漆黒のドラゴンであるソラリスは目を細め確認するとたしかに沿岸部に新たに作られたカーブはその紙切れの地図に描かれている通りであった。
「王よ。一体魔王様はどんな命令をくだされたのですか?私にはこの攻め方の目的が一切わからないので…」
顔には出さないが、ソラリスは困惑した声でシュガールに聞くと、逆に驚いたのシュガールの方であった。
「え?いやいや!言ったじゃん!魔王様が自分と戦える奴を育てる為にこの世界を作り直すって!」
「世界を作り変える!?!?」
ソラリスは思わず全軍に伝わる大声で驚嘆する。
「いやいや?聞いてませんよそんな話!?…あっ!だから他の軍と連携がうまくいかなかったのか…。通りでレラ様がこちらに文句を言うわけだ。」
「なんだ?レラから?全く!奴も仕方ないやつだな!ハハハッ!」
このシュガールと言う男もといドラゴンはいつも大事な事が抜けている。それでも豪放磊落的な快男児でありその実力とカリスマ性だけでドラゴンの王に500年以上も座り続けていた。
「はぁ…シュガール様。全軍を集めて改めて魔王様の命令を教えてください。全部!端折らずに!」
そう言うとシュガールの手を引き、沿岸へと降り立った。それに連なるようにそれまで土木工事と知らずに同盟軍と戦っていたドラゴンの軍勢が集まる。
「うーん。このままだと話が全員に伝わらないな。みんな!降りてから人化してくれないか?」
シュガールは黄金のドラゴンから金色の髪をなびかせる青年へとそしてソラリスも黒い髪と褐色の肌を持つ成人女性へと姿を変えた。
そして他のドラゴン達も姿を変えながら降り立ちシュガールの前へと集う。
「皆のもの!シュガール様のいつものやつだ!今回の作戦は侵攻作戦ではない!繰り返す!今回の作戦は…」
ソラリスの言葉に一瞬動揺が走るが、慣れているのかほうぼうからため息や笑いが生まれるのだった。




