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会議は予想された通り難航した。
問題点は3つ。
一つ目はモンスターという全く新しい種族を作り出さないといけないとういこと。それも図鑑にあるように属性やら弱点などをつけながら。
2つ目はその数である。一匹でいいのなら方法はいくらでもある。しかし種族として成り立たせるのなら生態系に淘汰されない数を用意しなければならないということ。
3つ目は危険度と耐久性の数字について。この危険度や耐久性は何を基準にしていいのかがわからなかった。
「この勇者の強さがわからない限り。3つ目の問題は解決しないわね。」
会議が始まって一時間。一つ目と二つ目の問題にケリがつかなかったので3つ目の問題に取り掛かることにしたのだったが、思わずメレーナは天井を見上げた。
「うむ。この一番目に乗っているスライム…こやつの危険度と耐久性が1と書いてあるがおそらく異世界において最も弱いモンスターなのだろう。しかし…。」
もしこの世界にいる一番弱い魔物、グリーンゴブリンの危険度と耐久性を1とすると人の成人男性なら攻撃を受けることもなく難なく一人で倒せるだろうからそれでいいだろう。しかしこれが10歳程度の子どもなら逆にやられてしまうだろう。少なくとも5人は必要だ。そうなるとそれぞれを1と設定するのは違和感が出る。それに子どもの中にも稀に体格の恵まれた者もいるだろうし、その逆も然りである。
「難しい問題ですじゃ。なので魔法について詳しいメレーナ様。命の扱いに長けたカシミラ様、そして強者を倒してきた魔王様の見解を伺おうかと集まっていただいた次第でございますじゃ。」
と言っても魔王がこれまで苦戦したという経験がないため力になれそうには無い。ただ、ここで魔王が一つの提案をする。
「一つ気になったのだが…。勇者も戦うごとに強くなるのではないか?経験を積んだ兵と新兵では強さが違う。ならばこの数字は絶対的なものではなくあくまで目安。つまり勇者になり得る者が強くなれば相対的にモンスターも弱くなっていくのではないか?」
「つまり、勇者の戦いの経験を積ませるためのシステムと捉えればよいのですな!?」
この提案はザルディンの曇った思考を晴らすのに十分であった。
「となると…1つ目と2つ目の問題も解決の糸口が見えそうですじゃ!さすが魔王様ですじゃ!!」
ザルディンの称賛にメレーナとカシミラも頷く。
「我は思ったことを口にしたまで…。それを形にできるのはそなた達であろう。その力になれたのならそれで良い。」
しかし言葉とは裏腹に魔王の口角は上がるのだった。




