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Page 16

【スライム】

液体に近いドロドロとした姿を持つ。沼地や森といった光の当たらないところに生息する魔獣。黒く濁っているのは腐敗した死骸を好み、その身に取り込んで溶かしながらゆっくりと栄養を吸収し、その間は酷い腐卵臭がする。


これがこの世界におけるスライムという魔獣だ。しかし異世界のスライムは見た目も液体と言うより固体に近い球体で一つ目を持っている。


「あら、向こうの世界にもスライムがいるなんてね。」


カシミラは絵を見ながらつぶやいたが、メレーナは後ずさりする。


「メレーナ様はどうやらスライムがお嫌いな様子で。」


からかうようにザルディンが笑いながら髭を撫でる。


「ええ…まぁ。……だって全く意思疎通なんて出来ないし!しかも見た目もアレだし?それに消化してる時の匂いなんて本当に酷いんですからね?しかも魔法への耐性もあるから駆除するのも大変なんだから!」


思わず語気を強めるメレーナを他所にカシミラは対照的であった。


「そう?私はスライムのこと好きよ?匂いは確かに独特だけど、消化していない時はしないし。それに触ってみるとひんやりして気持ちいいのよ?」


スライムへの異なる見解を述べる二人の女王を微笑ましく思いながらも魔王は口を開いた。


「すまないが二人とも。今、重要なのはこちらのスライムの印象ではなく。異世界のスライムについてなのだ。ザルディンよ。話の続きを頼む。」


「では…。まずこの本におけるモンスターは異世界の戦士…ここは勇者と呼ぶこととしましょう。勇者により強さを数値化していると思われますのじゃ。」


「強さを数値化?」


メレーナは引き切った椅子をもう一度机の方に戻し本に目を落とす。すると絵の横にザルディンが言うように全てのモンスターにいくつかの数値が書かれていた。


「また一区切りが付き次第、こちらの言葉に翻訳したものを配るので今はこれで我慢してくだされ。そしてこの数値が大きいほど強いと仮定すると…このスライムなのですが異世界においては最弱であると思われますのじゃ。」


「それじゃあこの色違いなのは数値が違うようだけど?」


カシミラが他のスライムの絵を指差しながら聞く。


「どうやら色によって強さが分かれているようなのじゃ。」


「色で判別できるとは…異世界とは便利なのだな。」


魔王が妙なところで感心しているとザルディンがさらに付け加える。


「しかも恐らくですがこのスライム…スライムに限らず全てのモンスターに属性のようなものがあってですな…」


そうザルディンが言いながら指差した先にはスライムの絵の右上に簡易的な火のマークが左上には同じく雫のマークが付けられていた。

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