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Page 14

「それにしてもこんなモノどうやって作ったのよ?」


カシミラがザルディンに疑問を投げかけると後ろから優しく腕を回し、耳元で囁く影が現れた。


「手ぐしは髪を駄目にしちゃうわよ。こんなに綺麗なのにもったいないわ。」


透き通るような白い手がカシミラの黒い髪を撫でる。


「メレーナが協力したってわけね。」


その言葉を聞き、メレーナは微笑みながらカシミラから離れる。ナーガ族の女王メレーナは魔力操作、つまり魔法に長けている。その実力は歴代でも屈指である。


「そうよ。今日、貴方を呼んだのもワタシ。だって最近忙しいって言って会ってくれないんだもの。」


両手を腰に置き少し怒った表情を見せるメレーナを困ったような申し訳ないような顔をカシミラは浮かべる。


「これがあれば落ち着くから時間を作るわ。だから待たせちゃうけどごめんね。」


「いいのよ。今のは意地悪しただけだから。貴方が忙しいのは承知してるわ。ただ少し寂しかったのよ。」


「コホン」


白と黒の女王が二人の世界に入ってしまう前に現実に戻ったのを確認したザルディンは咳払いのあとに話しをはじめる。


「では。メレーナ様には先ほどの打ち合わせ通りにこの世界を覆う魔力の膜を作っていただけますかな。」


「ええ。ただ、定着するまでに数年はかかるわ。」


「かまいませぬよ。その膜ができれば世界の外に出てしまっていた魔力を滞留させ、城を隠すことができますからな。」


普通は魔力は空へと舞い上がり、やがてこの世界の外へと放出され、霧散する。ザルディンらは魔法により膜を作り空に滞留させ透明化させた魔王城を浮かせ、そこへ隠すことで本にある【存在しない魔王城】を再現することにしたのだった。


「本当に魔力が溜まるようにしても大丈夫なの?」


カシミラは心配そうな声でザルディンに問う。するとメレーナがカシミラの手を握りながら答えた。


「ええ、心配ないわ。定期的に魔力を放出して濃度を調整すればいいから。でも…それよりも問題があるのよ。」


メレーナがザルディンに目をやると彼は机の上に本を広げこちらに見えるように寄越した。

そこにはなにやら魔獣の図鑑のようなものが描かれている。


「これが異世界にいる魔獣なのね。私たちが知ってる魔獣に似てるのもいるわね。何か説明書きがあるみたいだけど…。それで、これがどうしたのよ。」


「そうなのじゃ。()()()のであって同じではないのじゃよ。」


その台詞にカシミラは嫌な予感がよぎった。


「まさか…嘘よね?」


「カシミラ…残念ながらザルディンは本気よ。全く同じ魔獣を用意しようとしてるのよ。」

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