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Page 13

ザルディンは魔王の相談役という要職には就いているものの彼は魔王陣営幹部で唯一の人族である。

他の種族のように魔力や戦闘力が高いわけではない。ましてや特別な能力もないが彼は魔王への忠誠心と役に立ちたいという思いだけで何十年も勉学を修め、今や一目置かれる存在である。

そして彼がその知識以外に一目置かれる理由がある。それが魔王の為になるならば手段を選ばないという点であった。


今回の作戦。世界の地図を本の地図と同じにするだけでも大変な事業である。そこに加え、魔王城を隠す方法はザルディンとその部下達が数日考え出した案が採用される事となった。


「ザルディン…本当にこれをやるの?」


「もちろんですじゃ。これで空に魔力が満たされるはすじゃよ。」


会議と言われやって来たカシミラはグシャグシャになった長い髪を手ぐしで解きながら手元の紙を見ている。

この作戦で一番割を食っているのは彼女である。【冥府の女主人】という肩書を持つカシミラはありとあらゆる生物の死後の管理を任されている。普段ならそれらを転生させるか冥府で罪を償わせるかそれとも天界へと送り出すかなのだが…


「ザルディン。私は今回の作戦は参加できないわよ。もちろん配下も出せない。…あっ、決して魔王様の夢を叶えたくないとかそうじゃないのよ。それは勘違いしないで。…ただね…私の方はもういっぱいいっぱいなのよ。」


冥界では命が尽きることはない。だから疲れないし、眠らない。本来なら死ねば終わるようなトラブルも永遠に繰り返される。そんな自由奔放な命の管理をカシミラ達は休むまもなく続けていたのだった。


「ええ、もちろん。カシミラ様をここへお呼びしたのは作戦のご連絡とこちらをお渡ししたくてですな。」


そう言うとザルディンは淡く青白く輝く玉を取り出し渡した。カシミラが持つとその玉は驚くほど冷たい。


「これは?」


「氷牢玉とでも言いましょうか。これを割ると中から白い霧が辺りを包みます。それに触れた者は例え死んだ者であってもたちまち氷漬けになリましょうぞ。これでカシミラ様も少しは楽になるかと。」


「そうかも知れないけど…凍らせて大丈夫なの?」


説明を聞いたカシミラは疑問に思ったが、ザルディンは微笑みながら答える。


「どうせ死んでおります。また生き返らせた時には冥府で出来事など忘れておりますのでご安心を。すでに量産したものを送っておりますので使ってくだされ。」


カシミラは髪を解く手を止めて一緒に笑うしかなかった。

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