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「ふむ…確かに地図のどこにも同じ表記が見つからぬ。」
空に浮いたまま魔王は2時間ほど地図とにらめっこをしている。しかし穴が空くほど見た別世界の地図は都合よく変わってくれることはなかった。
「存在しない魔王城…確かにこれはこれで心躍るものがあるが…困った。」
「魔王様、恐れながら意見を申してもよろしいですじゃ?」
ザルディンが地図とは違うページを開きながら近寄ってくる。
「かまわぬ。」
魔王は本から目を離さず言葉を促す。
「魔王様その前のページをみていただきたく。…あっ、いき過ぎですじゃ…そう!そのページですじゃ。」
ザルディンが魔王の持つ本を覗き込みながら指定のページを開き、そして話しを続ける。
「このページですじゃ。まだ読み解くことはできてはおりませぬが、このザルディンが推察するにこのページは魔王城への行き方を書いたものではございませぬか?」
確かにザルディンの言う通り、挿絵は主人公と思わしき人物がいくつかの玉のようなものを空へと投げ込んでいる様子が描かれ、その次の挿絵にはその玉から道のようなものが現れている。そしてその道をたどると魔王城に行き着くといった様子であった。
「なるほど…。では異世界の魔王城へ行くにはこのような手段を用いなければならぬというわけか。底が知れたな!異世界の魔王よ!そんな臆病者だからこそお主は敗北するのだ!」
魔王がこういうのも無理はない。彼らが住まう魔王城はこの世界の中心で周囲数キロは荒野、つまりすごく目立っているのである。これは魔王がいつでも挑戦を受け付けるという思いの表れであったが。他の種族からすると堂々とそびえる魔王城は不気味かつ畏怖の対象でしかなかった。
「おっしゃるとおりですじゃ。魔王様以外の魔王など魔王にあらず!ただ…この本の通りにするとなるとこの地図から消す必要がありますのじゃ。」
「ザルディンよ。余談はその辺にしておくが良い。お主はもう考えが浮かんでおるのではないか?」
魔王の信頼にザルディンは応える。
「では…。この地図にないということは消せば良いと言う事。ならば魔王城を空に浮かべ、外から見えぬようにすれば良いのです。」
「なるほど。しかし視覚的に外から見えぬようにしても魔力感知によって場所が分かるのではないか?」
魔王はザルディンへと問題を提起するが、ザルディンは再び期待に応えるべく、一つの案を出す。
「そのとおりですじゃ。魔王様の有り余る魔力、そして城に住む者の魔力の両方が合わされば例え海の向こう側からでも場所がわかるでしょうな。ならば…」
「ならば?」
魔王は息を呑む。
「空全体に魔力を満たせば良いのですじゃ。」




