第5話・限界突破の恐怖の先に ~ぬくもりが厭わしい~
【閲覧に関するご注意】
今話より、国家権力による非人道的な処置や、登場人物たちの尊厳が深く傷つけられる非常に過酷な描写が含まれます。
精神的に痛ましい、辛い展開が続きますので、苦手な方や心身がお疲れの方は、無理をなさらず、心の準備ができたタイミングでお読みいただくことをお勧めいたします。
第5章 ソレはスベテをハカイする
第5話・限界突破の恐怖の先に ~ぬくもりが厭わしい~
まさか、国からこんな扱いをされるなんて……
処置室に移動させられて、ベッドに横たえられて……処置が始まってから何時間経ったのだろう?
身体を拘束され、口も目も閉ざされて、冷たい器具でひたすら処置を続けられる。
もう少し。
もう一度。
まだ命じられた規定に。
何度も、何度も、繰り返される処置に悲鳴のような叫びを上げて、拒絶の意思を示し続ける。
けれど、彼らも命じられた処置をやめるわけにはいかなくて、追加の薬を摂取させ、治療の魔法で強制的に回復させ、半ば強引に進めていく。
流石にアインからの保存は……
その声が聞こえた瞬間、恐怖が限界突破する。
こんな……こんな処置を、アイン君にもさせる気だった……?
あの子はまだ、幼い子供なのに……!
その分、あなたに……
ああ……だからか、と理解する。
アインに同じ処置ができないと判断したから、こんな……
(……にんげん、あつかい……されて、ない……)
ぷつん、と意識が途切れた。
そこから先は何も覚えていない。
気が付いたら、元の病室で寝かされていて……
(……くらい……?)
何があったっけ?
全身が泥のように重くて、感覚が完全にマヒしている。
腰から下の辺りに鈍い痛みが熱を宿して、自分の身体が自分のものではないような錯覚。
時間の感覚も曖昧で、どうして辺りが暗いのか、なぜ寝ていたのかも、分からない。
分からないはずなのに、おぞましい感覚だけがこびりつくように残っていて、ゾワリとした悪寒に襲われる。
「……っ……!」
酷い吐き気が渦巻いて、震える体が……
「……?」
微かなあたたかさに気づく。
何だろうと、重怠い体に力を入れて首を巡らせる。
そこに……
「…………っ……!!!???」
すうすうと、小さな寝息を立てて丸まっているアインが居ることに気付いた瞬間、怖気が全身を満たした。
びくりと震えて、重い身体を引き離す。
動けない、と思ったけれど、どうやらまだ動けるだけの体力か気力が残っていたらしい。
なぜ? と思う間もなく、一気に記憶が甦って、自分に対する嫌悪感に嘔吐いた。
咄嗟に口を手で覆って、なおさらアインから距離を取ろうと必死に体を引き離す。
なのに……
「……ん……」
小さく声を漏らして、寝返りを打つようにモゾりと動いたアインがインスにぴたりとくっついてきて……
「……っ……!!」
ダメだ! とも、イヤだ! とも言える拒絶感に無意識で払いのけてしまった。
「……わ……!?」
流石に急に振り払われて、アインも目を覚ましたらしい。
驚いたような声が小さく上がって、不思議そうに瞬きを繰り返す。
「……っ……」
自分が、何をしたのか、遅れて気づいたインスは愕然としてアインを見つめた。
「……インスさま……?」
きょとりと首を傾げたアインとしばらく無言で見つめ合う。
「……インス様……休んでください……?」
ややあって、心配そうに眉を下げたアインが言いながらそうっと手を伸ばす。
「っ!! ダメっ!!」
「……っ!!??」
目にした瞬間、斬るような鋭い声が喉を衝き、驚いたアインがびくりと震えて動きを止める。
インス自身も自分の声に驚いて目を見開く。
こんな、きつい言い方をしたいわけではないのに……!
「……ぃ、んす……さま……?」
泣きそうな、囁くような声がアインの唇から零れ落ちた。
第5章第5話をお読みいただきありがとうございます。
閉ざされた処置室でインスを待っていたのは、人間としての尊厳を奪い去るような底知れぬ暴力……。
国家という抗いようのない権力によって心身を蹂躙され、深い闇へと落ちていくインス。
さらに、そんな極限状態の彼を心配して添い寝してくれたアインを、無意識に突き放してしまいます。
インスの悲痛な叫びと、理由も分からず拒絶されて戸惑うアイン。
あまりにも残酷なすれ違いの行方は?
次回もお付き合いいただけますと幸いです。
【今後の連載スケジュールについて】
続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!
【ミニコラム掲載中!】
活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!
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今回は非常に重い内容を含んでおり、読者の皆様にもお辛い思いをさせてしまったかもしれません。
彼らがこの深い絶望の中でどう生き抜いていくのか、引き続き見守っていただけましたら幸いです。
もし本作の物語に引き込まれた、今後の展開が気になると思っていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと大変励みになります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【第9弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】
【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】
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ノリト&ミコト
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