表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑨~国家《しくみ》の虚構《うろ》に喪失《うつろ》の玉露《なみだ》を~  作者: norito&mikoto
第2章 誰かにとっての……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/32

第4話・神が贈りたもうた目覚め ~失われたはずの光~

第2章 誰かにとっての……



      第4話・神が贈りたもうた目覚め ~失われたはずの光~



 い、たい……



 いたい、くるしい……



 くる、し……



 さ、むい……あつ、い……



 こわい……



 こわい……っ!



 目の奥から、何かが抜けて、消えていく……




 からだ……おもい……





 ふっと、目を開くと、柔らかな明かりが満ちる白い部屋に、遠くから、何か……にぎやかな気配が聞こえてきた。



 周囲で人が、バタバタと動いていて、どうしたのだろう? と少し不思議に思う。



「……アイン……」



 呼び掛けてきたのは、主神殿の医務殿で、何度も見たことのある神官呪師(しんかんじゅし)の女性。


 確か、神官長の補佐についている医呪(いじゅ)神官だったはず。



「……し……ん……か、さ……ま……?」



 思い出して、呼びかけようとした声が、喉に引っかかる。


 ケホッと、小さく咳き込みながら、掠れて、震えた息を何とか絞り出した。



 対して、呼び掛けた神官呪師は、アインの目がきちんと自分の目と合ったことに驚いて息を飲む。


 失明している可能性がある……そう、聞いていたのに、そんな様子が見られない。



「……アイン、分かりますか?」


「……は……い……」



 呼びかけに頷く。



 どういう訳か、手も、足も……全身がすごく重くて、ピクリとも動けない。


 それは拘束されているからなのだが、アインの体感があまりにも悪すぎて、その違和感に気づけない。



「ここは、主神殿、医務殿の……」



 隔離棟です。



「………ぇ……?」



 けれど、そこまで言われて、理解する。



 物凄く頑張って、腕に力を入れてみれば、手首の辺りを拘束する、柔らかいけれども抜けられない戒めの抵抗を感じて……足に力を入れてみれば、横に倒すことすらできなくて。



「あなたには、指導者、監督者不在下で、勝手に魔法を使い、人を攻撃した疑いが持たれています」



 それでも、インスやキプラと違い、口を戒める布がないのと、見者(けんじゃ)であるのに目隠しをしていないのは……



 まず、口を封じる布は窒息の原因になりかねなかったから。


 目隠しをしていないのは、失明している可能性があったから。



 見者の力は『視認』することで発動する。


 だから、失明していて、見えない状態は暴走の恐れもないということ。



(……けれど、アインは間違いなく、見えている……失明している可能性というのは、一体どういう……?)



 真実のすべてを知っているわけではないその神官呪師は内心で首を傾げるが、拘束されていることと、その理由を説明されて絶句したアインは愕然としているだけで何の動きもない。



「……この後、判別(はんべつ)神官の方に来ていただき、宣誓を行っていただくことになるでしょう……それまでは、窮屈でしょうが、我慢して下さい……」


「………は……ぃ……」



 ほんの少し、痛ましげな表情をした神官呪師を見つめていたアインは、震えた吐息でようよう頷き、目を閉じる。



 その眦を伝う雫に気づかないふりをして、神官呪師はそっと、息を吐いた。


―――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 アインが意識を取り戻したのは、奇しくも聖木祭当日。


 それも、祭事のクライマックスに近い夜遅い時間帯。



 当然、神殿に仕える多くの神官はその祭事にかかりきりで……医務殿内も最低限の人員で回していたところ。



 この一週間ほどは体調が安定していたアインが意識を取り戻すのも間もなくだろう、と誰もが予測はしていたが、まさか聖木祭当日の夜に気づくとは思わなくて、すぐさま伝令は走らせたがすぐに対応することもできず……



 話を聞いて、目を閉じたアインもまた、いつの間にか眠ってしまっていて……



 結局、判別神官長のラティスと、医呪神官長のシリウム、そしてアインの担当をしている大神官のチェスパスが揃ってやって来たのは翌日の午後になってからだった。



「……神官長、さま……? 大神官様も……?」



 病室に入ってきた三人に顔を向け、その姿を認めたアインは少し不思議そうに呟いて。



「「「……っ……!?」」」



 声をかけることなく入ってきた三人はアインのその言葉に驚く。



 確かに、見えているようだ、という報告は受けていたが、この反応で間違いなく見えていることが分かった。



「……ぇ……?」



 対してアインは、三人の驚きようにびくりと震え、怯えたように視線を彷徨わせる。



 そして、微かに眉を顰めた。



(……あれ? なんだか……ちょっと……)



 視界が狭い気がする……



 怯えながらも首を傾げるアインに歩み寄り、一歩、ベッドに近い位置でラティスが足を止めた。



 これから、アインに対して、宣誓が行われる。


第2章第4話をお読みいただきありがとうございます。


ずっと生死の境を彷徨っていたアインが、聖木祭当日の夜という、華やかな祝祭の裏側で、ついに目を覚ましました。


しかし、彼が目覚めたのは隔離棟のベッドの上、しかも身体は拘束され、突きつけられたのは「容疑者」としての厳しい現実でした。


翌日、面会に訪れた神官長たちは、アインの「ある様子」を見て驚愕します。


アイン自身も感じている「視界の違和感」の正体とは?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第9弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


※番外編シリーズはこちら!

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


※本編シリーズはこちら!

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ