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黒雷の復讐者  作者: Lilith
第3章 深化

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第33話

 静寂に包まれた寮の食堂。


 夕食を終えた俺、赤田さん、白蓮さんの三人は、テスト勉強に励んでいた。


 俺は教科書の練習問題を解きながら、自分の理解が不十分なところがないか確認している。


 今回のテストは今までよりも科目数が多いうえに、馴染みのない科目もあるため、かなり入念に確認していた。


 とはいえ、すでにテスト範囲の練習問題は何度も解いている。正直、分からないところはまったくなかった。


 二人の様子を見てみると、それぞれ対照的だった。


 白蓮さんは黙々と教科書の問題を解いているのに対し、赤田さんは教科書の問題を見ながら唸っている。


 赤田さんは、だいぶ行き詰まっているようだな。


「二人とも、飲み物いる?」


 俺は冷蔵庫の方へ向かいながら、二人に声をかける。


 赤田さんは、さっきまでの深刻そうな表情から一転して、明るい表情になった。


「いる!」


「私も欲しい」


「了解」


 俺は冷蔵庫から麦茶を取り出し、三つのコップに注いでお盆に乗せると、二人のところへ運んだ。


 二人とも手を止め、麦茶の入ったコップを受け取る。


「ありがとう!」


「ありがとう」


 俺は自分が座っていた席に戻り、麦茶を一口飲む。


「あのさ」


 赤田さんが不思議そうな顔で俺を見つめる。


「どうしたの?」


「佳奈はともかく、颯斗はテスト勉強順調なの? さっきからあんまり苦戦してなさそうだけど」


「順調だよ。分からないところも特にないし」


「え、なんで!?」


 何でと言われても、どう答えればいいのか難しい。


 勉強で苦労した経験はないが、勉強自体がそんなに嫌いなわけでもない。


 だからこそ、一度で完璧に身につけようと、普段の授業から意識している。


 分からないところがあればその場で先生に質問するし、毎日復習と予習をすることも習慣になっていて、今でも続けている。


「なんでって言われてもなあ」


「前の学校とは授業の進み具合も違うだろうし、そもそも科目だって増えてるのにさ」


「科目が増えてるって言っても、勉強のやり方は他の科目と同じだし。最初は分からないところを黒川先生に質問しまくってたけど、そのおかげで遅れは取り戻せたよ」


 俺の答えを聞いても、赤田さんはまだ納得できない様子だった。


 一方、白蓮さんは俺の話をうなずきながら聞いていた。


「神崎は元々勉強ができる。緑とは違って、勉強のやり方が確立されている」


「つまり、どういうこと?」


「たとえ知らない科目でも、勉強のやり方が確立されているから、それに当てはめればいいだけってこと」


 白蓮さんに説明されても、赤田さんはまだしっくりきていないようだ。


 俺は赤田さんが使っていたノートと教科書を見せてもらうことにした。


 解けている問題と解けていない問題の傾向は、とても分かりやすかった。


「赤田さんのノートを見て、一つ聞きたいんだけど。解けている問題と解けていない問題の違い、分かる?」


 俺は赤田さんに問いかける。


 赤田さんは首を横に振り、分からないと答えた。


「違いは簡単。授業で解いたことがあるかどうかだよ。授業で解いた問題は答え合わせもしているし、解き方も先生が教えてくれている。その差だね」


「じゃあ、どうしたらいいの?」


 おそらく、赤田さんは根本的に勉強ができないわけではない。


 授業では扱っていない問題でも、教科書の問題の上部には解き方の解説が載っている。


 それを読めば、問題自体は解けるはずなのだ。


 ただ、勉強に対するやる気が起きず、解いたことのない問題の解き方を考えるのを途中でやめてしまっているだけだ。


「対処も簡単。俺たちと一緒に、一度その問題を解けばいい。一度解いて答えと解き方が分かれば、あとはそれを繰り返すだけだよ」


「二人には二人の勉強があるのに、いいの?」


「大丈夫だよ。白蓮さんはどうする?」


「私も大丈夫。付き合う」


「二人とも、ありがとう!」


 赤田さんは俺たちの申し出に、嬉しそうな顔をする。


 三人で協力して高得点を取る。


 俺たちは気持ちを新たに、テスト勉強を再開した。

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