第31話
俺が能力をコントロールできるようになってから一週間。
二度目の能力戦闘の授業にも問題なく参加でき、能力者としての日々を過ごしている。
あれから、赤田さんと白蓮さんと同じ班になることが決まった。
星光学園でも珍しい男女混合の班らしいが、人数の都合上、仕方のない措置なのだそうだ。
赤田さんは喜んでいたが、白蓮さんの方はどうにもよく分からない。
「やっと班を組めた」と言っていたが、それはつまり、相手が俺でなくてもよかったということだ。
足手まといにならないように、早く力をつけなければ。
「じゃあ、各々がどんな能力を使えるか話そうよ」
寮の食堂に集まった俺たち三人は、来たる班対抗能力戦闘大会に向けて話し合っていた。
まずはお互いの能力を理解し、そこから作戦を考える。
そして、本番までに鍛えておくべきポイントを話し合う。
今回の話し合いの目的は、こんなところだろう。
「了解。私が使えるのは氷の能力。冷気を使った攻撃と、氷で何かを作ることができる」
「何かって、例えば何があるの?」
「剣や槍、壁はよく作ってる」
実に戦闘で役立ちそうなものばかりが出てきて、少し驚いた。
もっとこう、動物や乗り物の名前が出てくるかと思っていたのだが。
「私がイメージできるもので、そこまで大きくなければ作れる」
俺が意外そうな顔をしていたからか、白蓮さんが補足してくれた。
「一度に何個も作ることはできるの?」
「作れても三個が限界」
剣や槍ほどの大きさのものを三個作れるのなら、一度に複数作ることを前提とした作戦は、あまり組まない方がよさそうだ。
おそらく負担も大きいだろうし、途中で力を使い果たしてしまっては元も子もない。
「作った氷って、いつ消えるの?」
「消えない」
「消えないの?」
「一度作ったら消えない。もちろん、氷だから溶けるけど」
作った氷に対する白蓮さんの意識が途絶えたり、新しいものを作ったりしたら消えるのかと思っていた。
だが、消えないのなら、いろいろと使い道がありそうだ。
「じゃあ、次は私かな。私は炎の能力が使えるよ。と言っても、剣に炎を纏わせるだけなんだけど」
ということは、主な技は「紅炎剣」だけということか。
能力の使い方という点では、俺よりもレパートリーが少なそうだ。
「偏見かもしれないけど、口から火を吐いたり、腕に炎を纏わせて相手を殴ったりすることはできないの?」
「……ごめんね。できないんだ」
赤田さんの顔が曇る。
何か事情があるのだろうと察した俺は、それ以上聞くことはしなかった。
能力を使わず、剣で戦うスタイル。
それでいて、近距離だけでなく遠距離からの攻撃も可能だ。
赤田さんの能力をどう活かすかは、作戦を考える上でかなり重要になるはずだ。
「次は俺だな。俺が使えるのは、まず雷の能力だ。今のところ、できるのは身体に纏わせること。それから、雷を球体にして放つこともできる」
「球体の大きさは?」
「今のところ、バレーボールぐらいかな」
「結構大きいね」
「問題は次ね」
白蓮さんは、そこが一番気になっていたと言わんばかりに、俺の瞳の能力について説明を求めてきた。
雷の能力は見れば分かるが、瞳の能力はそうはいかない。
能力が使われた結果から、どんな力なのかを推測するしかないのだ。
「瞳の能力については、視力の向上や透視について、前に説明したとおりだ。気になっているのは、瞬間移動についてだよね?」
「ええ。原理がまったく分からないから、説明してほしい」
「簡単に説明すると、俺の雷が着弾した場所に飛ぶことができる。好きなところに自由に飛べるわけじゃない」
「なるほど……」
白蓮さんは、俺の能力について分析を始めた。
瞬間移動は強力な能力だと思うのだが、いまひとつ使いこなせていないと感じている。
雷の能力で触れた相手や、遠距離から放った雷が着弾した場所にしか飛べないのだ。
「追撃性能は高いけど、奇襲にはあまり向いていないって感じか」
やはり、白蓮さんも俺と同じことを考えているようだ。
俺はまだ、能力をコントロールできるようになったばかり。
改良すべきところは山ほどあるということだ。
「みなさん、作戦会議ですか?」
声がした寮の入口に目を向けると、仕事を終えて帰宅した黒川先生が立っていた。




