↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒雷の復讐者  作者: Lilith
第2章 開花

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/30

第23話

 明らかに、俺の視界がおかしい。


 全身から雷が噴き出すのと同時に、俺の視界が何かに包まれた。


 最初は特に異常がないように感じたが、黒川先生を見たとき、その異変に気が付いた。


 黒川先生の姿に、紫色のモヤがかかっている。


「神崎くん、一旦雷を抑えられますか!」


「は、はい!」


 黒川先生に言われ、雷を抑えようと意識したが、まったく抑えられない。


 意識することが逆効果になっている可能性を考え、能力を使うために強く意識していた殺意や能力に関することを、頭の中からすべて取り払おうとした。


 そして、無心になることに集中する。


 すると、次第に雷が落ち着き、黒川先生にかかっていた紫色のモヤも消えた。


「と、とりあえず収まりました」


「よかった……。意識がなくなるような感覚はありましたか?」


「それは特になかったです。視界が何かに包まれていくような感じがしました」


「視界が、ですか?」


「はい。視界が何かに包まれたと思ったら、黒川先生にだけモヤがかかって見えて……」


 俺の話を聞いた黒川先生は、少し俯いて考え始めた。


「神崎くん。特に息が切れたりもしていませんが、体力を消耗した感覚はありますか? 全力で短距離を走った後のような感覚は」


「特にないですね」


 それなりの量の雷を全身から放出したと思うのだが、俺は特に疲労を感じていなかった。


 だが、あのときのあいつを思い返してみると、これが普通なのではないかとも感じる。


 あれだけの炎を出してすべてを焼き尽くしていながら、まったく疲れている様子はなかった。


「普通はそれなりに疲労を感じると思うのですが……」


 黒川先生も、少し不思議そうな顔をしていた。


「二回目、やっても大丈夫ですか?」


「あ、大丈夫です」


 俺は再び目を閉じ、右腕に意識を集中する。


 そして、あいつへの殺意を呼び起こした。


 激しい轟音が鳴り始め、目を開けると、また全身から雷が放出されていた。


 今度は視界が何かに包まれていくような感覚はなかったが、先ほど失敗したときと同じように、黒川先生の姿にはモヤがかかっていた。


「ん?」


 視界の奥で、小さな紫色のモヤが三つ動いていることに気が付いた。


 よく見ると、赤田さん、白蓮さん、青山さんの三人が歩いている姿だった。


 おそらく、学園から寮に向かっているのだろう。


「神崎くん! 雷を抑えてください!」


 俺は先ほど失敗したときと同じように、無心になることに集中した。


 すると、雷は落ち着いたが、視界の違和感は消えなかった。


「大丈夫ですか?」


「さっき言っていた視界の違和感がなくならないです。黒川先生にモヤがかかってます」


「モヤ以外に何か違和感はありませんか?」


「黒川先生には、赤田さんたちが歩いているのが見えますか?」


「え?」


 黒川先生は俺の視線の先を追い、目を凝らした。


 だが、赤田さんたちを見つけられなかったのか、俺の方を向いて不思議そうな顔をした。


「どこにいます?」


「俺の目線の先です。三人で歩いてませんか?」


「いや、まったく見えないです」


 俺には、三人が談笑しながら歩いている様子がはっきりと見えていた。


 だが、この視界の違和感がなければ、俺にも見えないのではないかと思う。


「神崎くん、一旦今日はここまでにしましょう」


「はい」


 まったく疲れていないため、まだまだ訓練を続けられそうだと思いながら、俺は寮に戻る準備をした。


「神崎くん。視界の違和感はまだ続いてますか?」


「はい。まだ続いてます」


「分かりました。違和感がなくなったら教えてください」


 俺は黒川先生と一緒に寮へ戻ることにした。


 歩きながら、黒川先生は次回の訓練メニューを考えているのか、ぶつぶつと独り言を言っていた。


 あと5分ほどで寮に着くというところで、俺は足を止めた。


「どうしました?」


 黒川先生が不思議そうに俺を見てくる。


 俺は今、自分に見えているものが信じられなかった。


 寮の食堂で何かを話している、紫色のモヤがかかった三人の姿が――なぜか、俺には見えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。