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黒雷の復讐者  作者: Lilith
第2章 開花

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第22話

 上級生との一件の翌日。


 俺は黒川先生とともに、周囲に何もない開けた場所に来ていた。


 上級生は今も意識不明の重体で、学園内の病院にいるそうだ。


 俺の能力が暴走する場面を目の当たりにしたせいか、クラスメイトたちは以前にも増して俺から距離を置くようになった。


 もともと仲良くしようと思っていたわけでもない。だから、別段気にはしていないが。


「神崎くん、早速始めましょう」


 これから黒川先生と行うのは、俺の能力をコントロールするための訓練だ。


 この訓練の目的は、自由に能力を使えるようになることというより、能力の暴走を防ぐことにある。


 いきなり授業中に暴走して、教室で見境なくクラスメイトを襲い始めたら大変なことになる。


 俺にとっては、せっかく存在が分かった能力を自分のものにし、あいつに復讐することが目的なわけだが。


「黒川先生、能力のコントロールとは言いますが、具体的には何をするんですか?」


「まずは、神崎くんがどんな能力を持っているのか、そして、何がきっかけで能力が暴走したのかをおさらいしましょう」


「どんな能力があるのかは分かりませんが、暴走したきっかけは、あの上級生に対する殺意なんじゃないかと思います」


「殺意、ですか?」


「はい。意識が飛ぶ直前、最後に考えていたのは、あの上級生を殺したい。それだけでした」


「そうですか……」


 俺の答えを聞いた黒川先生は、少し俯き、悲しそうな表情を浮かべた。


 上級生を意識不明の重体に追い込むほど能力が暴走したのだから、殺意が引き金になったというのは、俺自身も納得できる。


 次に気になるのは――。


「俺の能力が何なのかは、分かりませんか?」


「それについては、あの場にいたみなさんからも話を聞いた上で、ある程度の答えは出ています」


「雷の能力、ですか。赤田さんや白蓮さんから聞きました」


「それもありますね」


「それも?」


 赤田さんや白蓮さんから聞いたのは、俺が全身に電気を纏っていたということだ。


 それ以外については、特に何も聞いていない。


「はい。もう一つ、瞬間移動の能力も使えるのではないかと考えています」


「瞬間移動、ですか」


「全身に纏っていた電気が消えた後、神崎くんは上級生のところへ、まるで消えるように移動しました。おそらく、高速で移動したのではなく、瞬間移動したのだと思います」


 瞬間移動か。


 まるで、あいつのようだな。


「では、実際の訓練内容について説明しますね」


「はい」


「瞬間移動については一旦置いておいて、まずは雷の能力から始めましょう。やることは単純です。自分の思い描いた通りに能力を使う。それだけです」


「思い描いた通りに?」


「能力はイメージです。能力を発動させる場所、規模、形、威力。そのすべてを頭の中で思い描き、その通りに使えれば、コントロールできているということです」


 ずいぶん簡単そうに言っているが、俺には無理難題を突きつけられているように感じた。


 段階的に能力の使い方を覚えるのではなく、最初から目標とする状態を目指す訓練だということは理解できた。


「具体的には、何をすればいいんですか?」


「そうですね。能力は、自分の身体に近ければ近いほどコントロールしやすくなります。なので、まずは腕に雷を纏わせるところから始めましょう」


 腕に雷を纏わせる。


 イメージするだけで、本当にどうにかなるのだろうか。


 そもそも、雷はどうやって発生させればいいんだ?


「まずは、頭の中で腕に雷を纏わせるイメージをしてください。そして、暴走の引き金となった感情を強く思い浮かべるんです」


 俺の場合は、殺意を強く思い浮かべるということか。


 だが、そんなことをすれば――。


「それでは、また暴走してしまうのでは?」


「大丈夫ですよ。もし神崎くんが暴走しても、私が止めますから。神崎くんは気にせず、能力のコントロールに集中してください」


 物は試しだ。


 俺は目を閉じ、右手に意識を集中させた。


 右手に雷を纏わせるイメージ。


 そして、殺意を強く思い浮かべる。


 だが、殺意という感情は、向ける相手がいなければ強く思い浮かべるのが難しい。


 俺が殺意を向ける相手は、あいつしかいない。


「なっ!」


 あいつへの殺意を強く思い浮かべた瞬間、全身から雷が噴き出した。


 雷が噴き出すのと同時に、俺の視界が何かに包み込まれていくような感覚に襲われた。

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