↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒雷の復讐者  作者: Lilith
第1章 決意

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/30

第14話

 俺は流し台で米を研ぎながら、この台所があまり使われていないことに気づいた。


 流し台ではコップや箸などを洗っているようで、ところどころに水垢が見られる。


 だが、米研ぎに使うボウルやフライパンなどの調理器具は、さっき買ってきたばかりかと思うほど真新しいものばかりだった。


 ちなみに、なぜ米があるのかと黒川さんに聞いたところ、米を研ぐことくらいはできるらしい。おかずだけ外で買い、米は炊いているのだそうだ。


「な、何か手伝えることある?」


 俺が米を研ぎ終え、炊飯器のスイッチを入れたタイミングで、青い髪の女の子が台所に入ってきた。


 手伝えることがあると言ってくれたのはありがたいが、どの程度料理ができないのか分からない。まずはそこから確認する必要がありそうだ。


「えっと、料理ができないって聞いてるけど、何だったらできるの?」


「こ、米研ぎ、かな」


「今、終わったところだけど……」


「えっ……。じゃあ、手伝えないかも……」


 米を研ぐこと以外はできないのか。


 それなら、本当に手伝ってもらえることはなさそうだ。


「そうだね。本当にお願いできることがないかも」


「ご、ごめんね……」


 青い髪の女の子は申し訳なさそうにしながら、台所を出ようとした。


「あ、待ってくれ!」


 俺はこの機会に自己紹介を済ませておこうと思い、彼女を呼び止めた。


「何?」


「いや、自己紹介を済ませておこうと思って。俺は神崎颯斗。よろしく」


「私は青山彩夏よ。神崎くんは緑たちと同い年なんだっけ?」


「赤田さんの年齢は聞いてないけど、学年で言えば一年だよ」


「そうなんだ。じゃあ、やっぱり私の方が一つ年上だね」


 青山さんは二年生なのか。


 ほかの二人と比べて少し落ち着きがあるように感じていたが、単純に一学年上だったことも理由の一つなのかもしれない。


「青山さんは二年生なんだね。ずっとこの寮で生活しているの?」


「え? あ、うん。まあね」


 さっきから少し気になっていたのだが、青山さんの雰囲気はどことなく硬い。


 もしかして、彼女は――。


「もしかして、男が苦手だったりする?」


「えっ! ど、どうして?」


「いや、なんとなく。さっきから緊張してる感じがしたから」


「実はそうなの。この学園って男の子が極端に少ないから、男の子と話すときは変に緊張しちゃって……」


 黒川さんが言っていたように、この学園の男女比は男子一人に対して女子四人。


 青山さんの言うこともよく分かる。


「やっぱりそうか。まあ、俺は後輩だから、気楽に接してくれて大丈夫だよ。変に緊張しなくていいから」


「あ、ありがとう」


 別に感謝されるようなことでもないと思うが、素直に受け取っておこう。


 青山さんが台所を出ると、俺は料理に戻った。


 ニラや玉ねぎを切り、鍋に水を入れて火にかける。


 料理は施設にいたころからやっていたし、一人暮らしをしていたときも自炊していたので、正直慣れている。


 コンロの下にしまわれたまま放置されていたらしいフライパンを取り出し、軽く水で洗ってからコンロに置く。


 油をひいて肉を炒め、野菜を加えて味を調える。最後に卵でとじれば完成だ。


 どれも、慣れてしまえば簡単な作業だった。


「いいにおい」


 突然声をかけられ、振り返ると、そこには白い髪の女の子が立っていた。


 俺が初めてここに来たとき、この寮での生活に一番反対していたのが彼女だった。


「本当に料理できたんだね」


「え、ああ」


 どうやら、俺が作っている料理のにおいにつられてやってきたらしい。


「何か手伝おうか?」


「ありがとう。料理はもう完成したから、あとは食器を出したり、ご飯をよそったりするだけだね」


「分かった。なら、ご飯をよそうよ」


 白い髪の女の子は俺の後ろにある食器棚から茶碗を取り出し、炊飯器からご飯をよそい始めた。


 俺は彼女の背中を見ながら、恐る恐る尋ねた。


「君は、俺がこの寮で生活することについて、どう思ってる?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。