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とにかくめんこい魔王の隠し子ですが、貧乏将軍家の福の神になりました。  作者: 忍絵 奉公


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第33話 決定的証拠


 ナルルが拘束された翌朝。

 村の警備詰所には、警備隊長をはじめ数人の警備兵が集まっていた。

「本人は何と言っている?」

 隊長が尋ねる。

「ずっと『私は何もしていない』の一点張りです。」

「証拠がないなら帰せ、と騒いでおります。」

 隊長は腕を組んだ。

「……ならば捜索だ。」

「昨日のやり取りで十分な嫌疑ができた。」

「ナルル宅を家宅捜索する。」

「はっ!」


 ほどなくして、警備隊はナルルの家へ向かった。

 村人たちも遠巻きに見守っている。

「本当に犯人なのか?」

「証拠が出るかな。」

 ツェッペリン家からはブルー、ルビー、レッドも立ち会っていた。

 リリィはルナリーナに抱かれている。

 リッチも子猫の姿で、皆の後ろを静かについて歩いていた。

「捜索開始!」

 隊長の号令で、警備兵たちが家の中を調べ始める。

 戸棚。

 寝床。

 天井裏。

 床下。

 しかし――。

「隊長!」

「こちらは何もありません!」

「こっちも空です!」

 次々と報告が入る。

 隊長は眉をひそめた。

「隠し場所があるはずだ……。」

 その時だった。

「ニャ。」

 リッチがふいに台所へ歩いていく。

 床の隅をくんくんと嗅ぎ始めた。

「どうした?」

 レッドが近寄る。

 リッチは鳴きながら、古びた食器棚の前で前足を床に当てた。

 コン、コン。

 さらにもう一度。

 コン、コン。

 ルビーが目を細める。

「床の音が違う……。」

 警備兵が食器棚をどかした。

 そこには、床板の継ぎ目があった。

「隠し蓋だ!」

 バールでこじ開ける。

 ギィ……

 床下から、小さな木箱が現れた。

「ありました!」

 隊長が慎重に蓋を開ける。

 中には――

 黒い小瓶が三本。

 白い粉の入った紙包み。

 そして、汚れた布。

「これは……。」

 警備兵が鼻を近づける。

「薬品の臭いがします。」

 隊長は布を広げた。

 そこには乾いた白い粉が付着している。

「鑑定に回せ。」

「はい!」

 さらに木箱の底から、一枚の紙切れが見つかった。

『一滴で牛も死ぬ。飲み水に混ぜること。』

 隊長の表情が険しくなる。

「決まりだな。」

 ルビーは静かに息をついた。

「やっぱり……。」

 ブルーも頷く。

「これで終わりだ。」

 しかし、その時だった。

「隊長!」

 一人の警備兵が村の入口から駆け込んでくる。

「王都から早馬です!」

 隊長は手紙を受け取る。

 封には王国軍の紋章。

 静かに封を切る。

 読み進めるうちに、その表情が驚きへ変わった。

「ブラウン将軍……。」

「敵軍一万を撃退。」

「王国軍、大勝利。」

 村人たちから歓声が上がる。

「将軍様が勝った!」

「さすがブラウン将軍だ!」

 レッドは飛び跳ねた。

「父さんだ!」

 ルビーも笑顔になる。

「無事だった……。」

 ルナリーナは胸に手を当て、涙ぐんだ。

「よかった……。」

 リリィも何かを感じたのか、小さく拍手するように手を叩く。

「あぅ! あぅ!」

 その場にいた全員が笑顔になった。

 遠く離れた戦場でも。

 そして、この小さな村でも。

 ブラウン・ツェッペリンは、大切なものを守り続けていた。



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