表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とにかくめんこい魔王の隠し子ですが、貧乏将軍家の福の神になりました。  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/30

第27話 将軍のいない夜


 深夜。

 ツェッペリン家は静まり返っていた。

 家族全員が眠りにつき、窓からは月明かりが差し込んでいる。

 その時だった。

「ニャ……。」

 縁側で眠っていたリッチが、ゆっくりと目を開けた。

 耳がぴくりと動く。

 屋敷の外から、小さな物音。

 ザッ……。

 ザザッ……。

 人の足音。

 しかも一人や二人ではない。

 リッチは静かに立ち上がる。

 塀の外を見つめると、黒い影が十三人。

 さらに、その少し後ろには隣人の姿もあった。

「今よ。」

「金目の物は全部奪いなさい。」

 荒くれ者たちは頷く。

「任せろ。」

「将軍はいない。」

「女と子どもだけだ。」

「楽勝だ。」

 リッチの目が鋭く光る。

「ニャッ!」

 鋭い鳴き声が屋敷中に響いた。


「何?」

 ルナリーナが飛び起きる。

 ルビーも目を覚ました。

 ブルーは剣へ手を伸ばす。

 レッドは飛び起きるなり窓から外を見た。

「敵!」

「十三人いる!」

 ブラウンがいない。

 家族だけで守らなければならない。

 ルビーの表情が変わる。

 病弱だった少女の面影はもうない。

「みんな聞いて!」

 その声には不思議な力があった。

「ブルー兄さん!」

「玄関を守って!」

「レッド!」

「村の警備隊を呼んできて!」

「お母さんはリリィをお願い!」

「リッチは庭!」

 全員が迷わず動いた。

 まるで長年、戦場で指揮を執ってきた将軍の命令のようだった。

 ルナリーナは思わず驚く。

 (この子……。)

 (まるでブラウンみたい。)


「突入だ!」

 荒くれ者たちが塀を飛び越える。

 その瞬間。

 黒い魔力が夜空へ広がった。

 ゴォォォッ!!

 リッチが巨大な黒豹へ変身する。

「なっ!?」

「魔物だ!」

 荒くれ者たちは一瞬足を止めた。

 その隙だった。

 レッドが飛び出す。

「行ってくる!」

「気を付けて!」

 ルナリーナの声を背に受け、レッドは夜道を駆ける。

 速い。

 速すぎる。

 自分でも信じられない速度だった。

 木の柵を飛び越え、

 荷車を飛び越え、

 犬の群れをすり抜け、荒くれ者が投げた石までひらりとかわす。

「捕まえろ!」

 二人が追いかける。

 しかし。

「速っ!」

「あいつ何者だ!?」

 まるで風だった。

 レッドはあっという間に村役場兼警備詰所へたどり着く。

「大変だ!」

「強盗!」

「家が襲われてる!」

 警備隊長は飛び起きた。

「何だと!?」

 鐘が鳴り響く。

 カーン!

 カーン!

 村中へ非常事態が知らされた。


 一方。

 玄関ではブルーが剣を握る。

 まだ完全には見えない。

 それでも。

 人の輪郭は見える。

「来る。」

 扉が蹴破られる。

 ドォン!!

 荒くれ者が飛び込んできた。

「金を出せ!」

 ブルーは静かに構える。

 男が剣を振り下ろした。

 ガキィン!!

 ブルーは正確に受け止めた。

「え?」

 男が驚く。

 目の見えないはずの少年が、完璧に受けた。

 ブルーは踏み込む。

「はぁっ!」

 バキッ!

 木剣が男の腕へ当たる。

 剣を落とす荒くれ者。

「ぐあっ!」

 さらにもう一人。

 ブルーは横へ一歩。

 以前なら絶対にできなかった動き。

 力も速さも違う。

「負けない。」

 家族を守る。

 その一心だった。


 庭ではリッチが三人を相手にしていた。

 咆哮一つで男たちは震え上がる。

「うわぁぁ!」

「化け物!」

 誰一人、リッチへ近付けない。

 その様子を見た隣人の顔から笑みが消えた。

「こんなはずじゃ……。」

 遠くから警備隊の鐘の音が近づいてくる。

 カーン!

 カーン!

 そして村人たちの声。

「将軍の家だ!」

「急げ!」

 援軍が到着しようとしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ