1章 第6話 『夜明け』
やばいです。前書きって何書けば良いのか分からないです。
そして、時間めちゃくちゃズレてしまって申し訳ありません。
突如闇から現れたデカい目。それを見たヘルとアールは固まっていたが、アールが先に声を出す。
「べ、べべ、ベキーモスよ! 早く逃げないと!」
ベキーモス、それはこの森の名前の由来のモンスター。体がどこにあるのかはっきりしないが、いつも突然目が現れて森の中の人を殺すんだとか。
「アール! 逃げるぞ!」
膝をついていたアールの手を引っ張り、モ車の方向に駆け出す。
後ろを見ても、目の位置は変わらない。
「——っ! 何だ!? 地面が……」
「ちょ、キャー!!」
地面が割れた。
アールが体勢を崩す、が立て直す。体感が強いな、なんて場違いな事を考えていると、さらに地面が割れる。
何か固く、重量のあるものが引きずられる音がした。
後ろを見ると目がこっちに近づいている。
「アール、何か逃げ切る方法は!?」
「わ、私は分からないけどとりあえずモ車まで逃げよう!」
ひとまず方針を決め、再度走り出す。
「——?」
ヘルは違和感を覚えていた。どれだけ走っても地割れは続き、後ろの目は追ってくる。そして、横の黄色い木のみのなった木がずっと一緒に動いている気がした。
同じ木がずっと横にあって、後ろの目もずっと同じ位置から付かず離れずの位置。これは……
「森全体がこいつの体……なのか?」
あまり考えたく無い答えは当たりかもしれない。
ヘルの現実味のない考えは、目のデカさと数。それが物語っていた。月明かりに照らされ映り込んでくるその顔は、例えるものがないくらいデカかった。
周りの木も暗くて見えていなかったが、天に届くんじゃないかと思うぐらい高い。
ベキーモスは赤い目を六つ開眼し、本格的に地面が揺れ出す。
「あ! 見えてきたよ!」
アールが指を刺して歓喜の声を上げる。ヘルも視線を送るとチャウロンが荷台に飛び込めと合図を送っている。
「行けるか!?」
「もちろん!」
ヘルとアールは視線を交わし、お互いに手を力強く握り足に力を入れて飛び込む。
「はぁ、はぁ……死ぬかと思ったー」
「油断はダメですよ? アール様。相手はあのベキーモス、森に入るなとあれほど……」
「森に入った件は俺が原因だから叱るなら俺だけにしてください」
チャウロンは「はぁ」とため息をつき、苦笑いで返す。モ車は手綱を握っていなくても動くらしく、チャウロンも荷台に乗っていた。
ドゴっと、何かがぶつかる音がして、モ車が揺れる。
「——っ! なに!?」
アールが悲鳴を上げるが、ヘルは見ていた。
ベキーモスの頭の周りに無数の魔法陣が展開され、木が魔法陣に吸い込まれ、土で先を槍のように鋭くしていく光景を。
「あれは……魔法、なのか?」
いまだ体が見えていない——いや、見えているがデカすぎて全体が見えないモンスターは、無数の魔法陣から次々と撃ってくる。
次の瞬間チャウロンが何かを呟き出す。
「酷悲憤火」
「理想郷は砕かれ、矮小な者は思い知る。
灼き尽くしたい、汝らを。
灼き尽くしたい、この身を。
代償は、怪王の賜物。
代償は、我が魔力。
対価は汝の肉なり。
貴族の弄びに終幕を。
——我が代にて、悲劇を断つ。」
チャウロンの周りに紅黒オーラがゆらゆらと揺れている。そのオーラは無数の黒い炎の玉となり、ベキーモスの魔法に放つ。
威力を相殺したのか、ベキーモスの槍は飛んでこない。
そして再び詠唱を開始する。
「理想郷は砕かれ——」
この世界の魔法の詠唱はどこか重い雰囲気を感じる。
「な、なぁ魔法の詠唱のルールとかってある?」
アールの肩を叩きチャウロンの邪魔にならないようにコソコソと聞く。
「知らないの? まず魔法名を唱えてから詠唱だよ。詠唱は魔法が発現した時に一緒に頭に浮かぶはずだけど、ヘルはないの?」
「俺、詠唱なんて浮かんでないよ?」
アールは黙り込み、チャウロンを見て「頑張れ!」と応援を始めてしまった。
俺に詠唱が無いのは何でだ?
「まずいです! そろそろ魔力が尽きます!」
あれからだいぶ撃っていたチャウロンが魔力切れをいい出す。
「チャウロンさんが魔力切れたら本当にまずくない?」
「ち、力及ばず申し訳ありません」
今モ車がこうして動けてるのはチャウロンの魔法のおかげなのは間違いない。飛んでくる槍を全て撃ち落としている。
しかし、ベキーモスは一向に離れないし、槍の雨も止まない。どうすれば——
「魔力が切れます!」
「——っな!」
チャウロンが叫ぶ。絶望しているアールをチャウロンとヘルは同時に庇おうとした。
——何か無いのか!?
一瞬、《》が差した。物凄い爆発音と、爆風でモ車はひっくり返り、ヘルは外に出される。
「うっ! がっ」
投げ出され地面に転がる。痛む腕を押さえ、視界を辺りに見回し何が起きたか現状把握しようとして、時が止まる。
ベキーモスが後一歩のところまで近づいていた辺りにクレーターができていた。
「何だ? 何が起こった!?」
「良かった。間に合ったみたいだね」
「……あなたは?」
目の前の金色金瞳の青年、御伽噺に出てきそうな格好に煌びやかな剣。
「俺はダイラ・エデン」
それは『現代の英雄』の二つ名を持つ初代英雄の子孫の名前だった。
空は太陽が昇りだし夜が開けていた。
「——っ! アール! チャウロンさん!」
ヘルはモ車に向かって走り出す。自分は外に投げ出されたけど、二人はいなかった。
「あっ! ヘル、無事だったんだね」
「アール! 怪我はないか? チャウロンさんも大丈夫ですか?」
「ええ、私も怪我はなく無事です」
二人とも荷台の中でシャッフルされたようであちこち押さえているが、ひとまず無事みたいだ。
チャウロンが「何があったかお聞きしても?」と聞いてきが、ダイラが答え出す。
「巨大な魔力を感じたので"飛んで"来たのですよ。間に合って——」
間に合って良かった、そう言うとしたのかエデンの顔は引き攣った表情に変わる。
短い一言だった。
「来る」
地面は再び割れ、モ車が呑まれる。
アールとチャウロンはすでに出ていたから、落ちなかったが、
「ダイラさん! さっきの爆発はあなたですよね? もう一回撃てるんですか!?」
「もちろん撃てる。そして、タメ口で構わないよ。そんなに畏まらないでくれ」
ニコッと歯を見せて笑顔を向けてくるダイラ。ちょっと引きつつも今はダイラの魔法に託すしかない。
ふと視線の先に人が映り込む。それはアールでもない。チャウロンでもない。無論ダイラでもない。
「人だ! 近くに2人いる!」
「——っ! 3人は自信あるが5人は……」
「俺があの2人を助けにいくから、お前はアールとチャウロンを頼んだぞ!」
「な! 流石にあぶな——」
ヘルはダイラの言葉を聞き終える前に駆け出す。
辺りの地面は割れ、砕けろくな足場はない。その割れた地面を飛んで移動する。
ドゴっと何かが飛んでくる。
「おい、おいおいおい! ダイラはやーく!!」
ヘルに槍の雨が降り注ぐ。間一髪で躱し、2人の前まで何とか辿り着く。
「良かった」
近くで野営をしていたのか、焚き火の後があり男女は寝たままだ。この状況でよく寝ていられるなと、驚愕していると、先程の爆発音が聞こえる。
今度こそ、ダイラの魔法でベキーモスは後退して行く。
「ヘル、君も無茶するな」
「俺あんたに名前教えたか? でもまぁ、助かった。ありがとう」
ダイラはアールに教えてもらったといい、腰に剣を戻す。
ヘルは安心したのか腰を下ろして、ため息をつく。
すると駆け寄ってきたアールがヘルを指差し震えた声で言ってくる。
「へ、ヘル? 背中が何か光ってるよ?」
「——え?」
後ろに首を回すと、確かに光っている。それも結構な輝き、太陽の光を越えるんじゃないかと思えるぐらい。
——何だこれ?
「いやそれよりさ、魔法についてもう少し知りたいんだけど。ダイラは詠唱してなかったよな?」
遠くで聞こえなかっただけかもしれないが、何かを唱えてるようには見えなかった。
「魔法を使うには魔法名を言ってから詠唱に入る。この詠唱は魂の独白みたいなものだよ」
ダイラが答えてくれた魂の独白とは。
「俺の知ってる知識だと、詠唱を始めてから、燃え尽きろ! とか言って炎の魔法出したりするんだけど、この世界は違うの?」
「その魔法はどこの国のルールなんだい? 詠唱は魔法発現時の想い。それまでの人生の、"魂の紡ぎ"だよ」
魂の紡ぎ。ヘルの魔法に対しての常識が覆された。普通は詠唱から魔法のはずだが、この世界は違うらしい。
魔法名から詠唱。そして、詠唱はその人その人で違い、自分の魂を紡いでる。
ヘルはチャウロンの独白のような詠唱は自分の魂に詠唱を聞かせてるのかと理解した。
「それよりヘル達はこれからどうするんだい?」
「俺達はー……」
「ヘルと一緒に魔法剣学校に行くのよ」
アールの言葉に目を大きく開いていると笑顔を向けてくる。ダイラは「なるほど」と一つ頷き、
「なら送っていこう」
ダイラといたもう1人の金髪金瞳の男を前に出す。
読んでいただきありがとうございます。
至らない文章だとは思いますが、今後も読んでもらえるとやる気に繋がります。
いつかカクヨムに追いつくために、スケジュールを考えているので、小説家になろうで読んでくれている人は待っていてください。




