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首切りは堕ちる  作者: 越想
第1章 『魂を紡ぐ』
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1章 第11話 【動き出す】












 あれから3ヶ月が経った。毎日毎日同じ訓練の繰り返し。しかし日に日に『魔気』は上手くなっている実感がある。


 最初は体に流れる魔力に違和感を持っていた。だが、今は違う。この流れる感覚は最初から存在していた様に異物感は消えていく。


「そろそろ全員基礎はできてきたみたいだな。なら次は武器を持ってやってみろ」


 この白い部屋に入る前に武器は1箇所にまとめて置いてた。それをオルドが持ってきて1人1人に手渡す。そして、


「武器に魔力を注ぐ。すると武器の特性《《魔力に大補正》》が掛かる。調整次第で威力も変わってくるが全身にも魔力を巡らせてるのを忘れるなよ?」


 武器の特性で魔力に補正がかかる。その言葉を聞いてヘルはゲームみたいだなと考えていると早速ジンが試している様子を見る。


 ジンは目を銀色の剣を両手で握り正面に構える。足は仁王立ちで少し不格好に思える。これもジンらしいかと思っていると銀色の剣が黒風を纏いだす。


「強そうじゃね?」


「強いといいな」


 ジンがヘルを見て自慢げな顔をむけてくるが、ヘルは自分の訓練に集中するため適当に返す。



 普段ふざけているのに、こう言うのをしっかりできるって事は根はしっかりしてるのか?



 そんな事を考えながらヘルは斧を両手で持ちジンの様に正面に構える。ジンと違うのは右足を後ろには左足を前に出している事くらい。


 鏡でもあったら自分の似合わない構えを見て笑ってしまうだろう。

 正直構えなんて教わってもないし正解が分からない。


「おいジン! 構え教えただろ! 足を揃えて立つんじゃなくてこうだ!」


「あっはぁー」


 

 ……ジンがオルドにまた構えで怒られている。



 剣を持っている人はこのクラス8人中7人そして、斧は1人。オルドも見た事ない武器だと言って構えや戦い方は教えられないらしい。


 けれど剣と同じ戦い方は知って置いた方がいいと言う事で構えは独学だが、剣と同じ戦い方を学べるそうだ。


 『魔気』の特訓に武器の扱いの特訓、そしてついに『魔法』の訓練が始まった。


「武器の扱いもそれなりになってきた。まだまだ訓練が必要だが、並行で進めていく。次は『魔法』の練習だ」


 ヘル達のいるクラスは世界で数えて魔法を使える者が15人しかいないうち、半分を超える8人が1ヶ所に集まっている。


 魔法剣学校の生徒のほとんどは魔法が使えない。この年はあちこちで魔法を使える者が現れた。国はそれを放っておかなかった。


 それで今年はこう言う全員が魔法使いと言う、異常なクラスが爆誕したらしい。


 オルド曰く、力の使い方を間違わない様に小さい頃から教えると言っていた。《《人類が魔王に勝てる未来》》のために。


「と、言っても私は魔法が使えない。どう言う感覚で練習すればいいとかは教えることができない。だから、特別ゲストを呼んだ」


 オルドはそう言って教室のドアを開けて、2人の男を呼んだ。その2人は金髪金瞳で並んで立てば兄弟だと誰もが分かる。


 そして、その2人をヘルは既に会ったことがある。


「——っ! ダイラ! ヌール!」


 アールが声を張り机をバンッと叩き、勢いよく立ち上がる。それにダイラとヌールは苦笑いしていた。


「『現代の英雄』に『怠惰の時渡り』……? こんな凄い人達が何故?」


 アールと違い混乱しているトゥルバを横目に、ヘルはヌールの方の『二つ名』を聞いて1人納得していた。



 瞬間移動するから、時渡りなのか。でも怠惰? 性格が実はそう言う系なのか?



 ヌールは結構しっかりして見えると思っていると、ダイラが話し出す。


「オルド先生の言っていた通り、魔法の練習が始まる。その為に俺達が魔法を教える……らしい。正直教えるのに向いてないと思うんだけどね」


 そう笑って言っているが、オルドは他に適任はいないと言っている。


「——」


「——っ」


 ダイラと目が合い手を振ってくるのに対して、お辞儀を返す。


 早速白い部屋に行き練習を始める。


「まず俺は『魔法』とは魂が欲しいと願い、叶った『奇跡』の力だと思っている」


 ダイラが『魔法』について話し出す。ダイラの言葉をヘルはなるべく聞かないようにしていた。


 

 俺の魔法が奇跡の力……? こんな物は誰も望まない。こんな、こんな力は——


「——『奇跡』なんかじゃない……」


「……?」


 ヘルは独り呟くと、アールがこちらをチラッと見てくる。それに対して何でもないと、話を聞こうと促す。


「まずお手本として魔法を見せるのはいいんだけど、エデン家の魔法って詠唱がないからあまり役に立たないと思うよ?」


「光属性は詠唱がないで有名ですからね」


 ダイラがオルドに向かって確認を取るが、オルドは笑って頷く。それに応えるようにダイラは魔法を使用する。


 ダイラを光が包み込む。それは以前ベキーモスとか言う六大魔獣の一角とで交わした時にダイラが放った光と同じ……


「魔法名もないから、呼び名はないんだ。だがこれは以前ヘルが言っていた『暁光』と言う名前にしようと思う」


 どうかな? とダイラは首を傾げて聞いてくる。ヘルはよく覚えてたなと思いながら反対する理由もなく頷く。


 そして本格的に練習が始まる。各々詠唱を開始し木の丸太に向けて撃っている。そこにダイラがヘルの元に近づく。


「ヘルは撃たないのか?」


「……、撃たないって言うか制御ができないんだ」


「それは、苦労しそうな魔法だね」


 そんな会話をしてヘルだけは魔法の練習をせず、皆が魔法の練習をしてる時も『魔気』や武器の扱いの訓練を独りで続ける。


「……」

 

 オルドが時々こちらを見てくるが気にしないようにしている。特に何かを言って来たりはしなかった。そんな日々が2年生になるまで続いた。


 







 ヘル達は2年生なった。魔力を巡らせ肉体を守る鎧『魔気』をそれなりに使える様になった。


 そして剣に魔力を込めることもできる様になった。これはヘルだけまた透明だった。オルド曰く、魔力を注がれた武器は攻撃の時に属性か乗ると言っていた。


 『魔気』については未だにはっきりと分かっていない。オルドが言うにはその内、嫌でも分かると言っていた。


 そしてついに2年生。ここからは——


「——ここからは、ダンジョンに行きレベルを上げながら、卒業に必要な一つ目の試験に挑んでもらう」


 ダンジョン——それは、この世界にいくつか存在する不思議な地下のモンスターの巣。場所によって強さは異なるが、この近くにあるダンジョンはそこまで強くないらしい。


 まずはレベルを20にしてから『開器』と呼ばれる物をする必要があるらしい。これができないとレベル21以降上げることはできないんだとか。


「以前も話したと思うが2年では『開器』を全員にしてもらう。これができた人と、できない人では雲泥の差がある」


「はい。『開器』はどうやってするんですか?」


 ヘルが手を挙げてオルドに質問をする。クラス中の視線がヘルに集まる……、と言うことはなく、集まるのはアールとジンの視線だけ。


 オルドは頷き言葉を続ける。


「最もな質問だ。だが『開器』はどうやったら起きるのかは明確に分かっていない。可能性としては、死戦を切り抜けるか、仲間の強さを知ること。この二つがよく挙げられる」


 レベルを上げるんだ。死戦を越える必要があるのは分かる。強いモンスターがいたら仲間の強さだって必要だろう。


「最終試験ではダンジョンのボスをこの8人で討伐してもらう。まずはダンジョンに2人でで3階まで降りてもらう」


 それを全員分やると言っていた。早速明日から始めるそうだ。


 この日は説明を受けて終わった。


「最後にこの言葉を残しておこう。『肉体を開器させ、魂を昇華させる』これが強くなるための秘訣だ」


 そう残してオルドは教室を出て行った。

読んでいただきありがとうございます。


開器してない人はレベル20から上には行けません。開器をしてる人は21〜40でまた次の開器をしなければならない。20レベルごとに開器が存在しています。でも、特に大事なのは今後出てくるであろう、あの数値です。


あの数値に触れるのはまだ先だとは思いますが、楽しみに待っていてください。

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