グラサンP
「さあさ、乗って乗って。事務所のプロデューサーやってる剣菱だよ。よろしくね〜」とグラサンに、ヒゲのオヤジが現れた。袖から入れ墨がちょっとのぞいでる。アロハシャツにビーサンの怪しいオヤジだ。他にもカメラマンや音声さん、ディレクター等がいる。
「さ、撮影するんすか?」ちょっとビクビクしてた青年が車に乗る勇気がないのか?及び腰だ。
「ほら、早く乗らないとオーディション落ちちゃうよ?今から君等は初島へ移動してもらう。そこで謎を皆で考えて解いてもらう。それが、できたら合格だ。」プロデューサーが合格書類をチラつかせる。
「あ、あの、私は関係ないんですが。」琴子がいつの間にかメンバー扱いされて焦る。
「君は、笠原さんの推薦したんでしょ?じゃあ、責任あるよ。初島の謎を解いてね。解けないと笠原君は、不合格だよ。」と問答無用でプリントが配られた。
初島の地図だ。
「僕ら一行と、初島の皆さん全てが演者です。僕らが島に着くと惨劇の始まりです。殺人鬼が次々と人を殺していきます。
島民で容疑者となる人にはビブスを着てもらいます。
畑山くん、配って〜」とディレクターが1人1人にビブスを渡す。
「僕らは全員容疑者です。この中から真犯人を見つけ出して下さい。それが出来れば合格です。
もし明日までに真犯人にたどり着けないと…犯人役の人だけ合格になります。」プロデューサーが口元だけで笑う。
「と言うことは、僕らの中に殺人鬼が居る可能性もあるんですね?」笠原が聞く。
「おっ、さっそくやね?アモアスやん。」京都から来た太一が喜ぶ。
『うん?今初めて聞いたにしては反応おかしくない?』と少し引っかかる。
「エエッ、無理無理無理ですよ〜そんなの〜」明るい茶髪をワックスで膨らませてるノリの軽い子が拒否っている。
『普通、その反応なるよね。黒髪のマッシュの子はワゴン乗るのすら用心してたし。いや、それもすでに演技なの?』琴子は頭が混乱してくる。
まるで推しに『1人楽してんじゃないよ!演者の身になれ!気楽に裏切られた〜とか娯楽を追加供給されない事を文句言うな!こっちは身を削ってやってんだよ!』と言われてる気がする。
いや、今確実に取り込まれてるのか?
琴子は自分に言い聞かす。
『落ち着け!落ち着け!この車の中で笠原と自分は確実に除外できる。残りは、スタッフ4人と候補者の4人だ。犯人なら開口1番、場を仕切るか存在を消すはず。
つまり京都弁の子か?身体のデカい子か?
存在を消すならスタッフも1番隠れ蓑になるか?』とスタッフの顔も見回す。
「さあ、船に乗り換えるよ。荷物忘れないでね〜
笠原くんは彼女忘れないでね〜」とプロデューサーがからかう。




