動画の向こう側からの招待
裏切られたと思った推しが、実は次の手が見えなくて逃げた?まさか?とちょっと自分に置き換えすぎた!まさかそんな事は…と自ら否定した。
そこに笠原から電話が入った。
なぜ、電話?
「あのさ、オーディションをもう1回受けてくれないか?と言われた。どういう意味だ?」笠原に聞かれる。
「はあ?落としておいて、受けに来いと?」琴子もビックリした。
「うん、熱海駅に来てくれって…どういう事?」笠原が戸惑っている。「ごめん、私もサッパリ分からない。
見えないよ…そんなの初めて聞いた。」と言いながら、今見てる初回も海から始まる。
熱海も…海…いや、まさか…
「笠原くんは苦学生だし働かないといけないから、その日行くなら日当貰えるか聞いた方が良いよ。
今、電話し直して聞いた方が良いよ。バイト開けれるの?その日?」琴子はそっちの方が気になる。彼の生活に負担を掛けたくない。
「相談してみるよ。事務所もバイト先も。」と言って電話切った。
何だろう…嫌な予感がする。
折り返し笠原から電話があった。
「日当出るって。それより、推薦してくれた女の子いるなら一緒に連れて来てと言われた。」笠原がまたビックリする事を言う。
「えっ、私の事、面接で言ったの?!!!!」驚いて聞く。
「いや〜、言ってない。言ってないが、金の話とオーディションあるのは、人に聞いたと言ったよ。」笠原が答える。
『うん、そこから同世代の女が絡んでる。自分のファンが絡んでると推測したのか?』まるで笠原を挟んで推しと謎解きしてる気になる。
「もしかすると泊まりになるかもしれないから、俺もお前も親の許可貰ってって。親に渡す会社の代表番号も貰った。行けそう?」と聞かれる。
『…まるで、これでは推しチームの初回動画と同じだ!
どこへ連れて行かれて、何をさせられるのか?』琴子は画面の向こうへ無理矢理引きずり込まれるような重力を感じた。
当日、熱海駅に着くと他にも4人青年が居た。
笠原もだが、4人とも声が良い!通る!デカい!
「僕、朝イチで京都から来ました〜太一言います。よろしゅう〜」と人懐っこい青年が皆に握手求めてきた。
もう1人の子は、人見知りらしくちょっと離れて立っている。「…へへ、ちわ。受かったのかどうかな?」とペコっと頭を下げる。
「さあ、どうなるんだろ?てか、どうして熱海?それも泊まりになるかもって???」もう1人ノリの軽そうに青年が聞く。 「さあ〜わかんね。バイト行けないから困ってたら日当出るから助かったわ〜」と身体のゴツい青年が笠原を見る。
「…俺もだ。助かった。2日で3万は良いよな。でも、内容聞かされてないのは不安だな。株式上場してる会社だから親の許可は取れたけど。」笠原も不安げに答える。
そこにワゴンが止まった。




