卑怯
2手に分かれてるこの時間に殺人が行われる可能性は無いだろう…とムシャムシャと食べる事に集中する。
なんたって採れたてピチピチなのだ!イカのワタ焼きなど新鮮じゃないと食べれない!
端の隆史と恭弥の店から歓声が聞こえる。
2人が店を沸かせているようだ。
タクシーの運転手の錠前さんは車から出て食道街の方を眺めながら海を背にタバコをふかしだした。
その時!
警報音が鳴り響く。
「ど、どこから?」琴子は店の中を音の元を捜すが、皆立ち尽くして首を振る。
「違う!店の外だ!」太一が店から飛び出し、隆史達の店の方へ。
が隆史達も店から飛び出してこちらに向かっていた。
どこまでも青い青い海を背に錠前さんが唖然としてタバコを口から下に落として慌てて足で消して
両手を上げた。
「僕…殺されました。」
「えーーッ、ズルくないか?遠隔スイッチとかなら、何でも有りじゃないか?」太一が最初に否定していた形で殺人が始まった。
「うん、確かにこれじゃあ犯人絞れないよ。どうしたら良いんだろう?」ノリの軽い沢辺も頭を抱える。
「まさか二手に分かれてる時にやられると思ってなかったわ〜恭弥と早食い競争してたわ!」人見知りのはずの隆史がすっかり恭弥と馴染んでる。相性が良いのか?
「え〜と、これはどういう事ですか?プロデューサー?」 ガタイの良い恭弥に詰問されてプロデューサーが焦る。
「いや、いや〜仕組みは全く知らないんだよ!社長と犯人役しか知らないと思う。ウチの事務所内でも。
社長が電話してたのは知ってるんだ。専門家に。」プロデューサーが答える。
大人なので老獪かもしれないが、このプロデューサーは表情に出るタイプな気がする。明らかに含みを感じない。
「何の専門家ですか?」琴子がテーブルを叩く。
「何?この子、怖いなあ〜分かんないよ。でも電気関係だと思うよ。ウチの社長も電気弱いんだよ。
こんな仕掛け出来ないって!」プロデューサーが答える。
確かに推しは電気系とにかく弱かった。配信者なのにパソコンとの相性が最悪なのだ。なんど配信途中で落ちたことか…
「…無線だと思うよ。遠隔スイッチで、ビブスごとに多分周波数を変えることで選んだ周波数でビブスの警報機が作動するようにしてるんだよ。」太一が電気系強いらしく説明してくれる。
が、他の3人はポカンとしてる。
「笠原くん、分かる?」限りなく文系の琴子が聞く。
琴子は法学部なので国語と英語と社会の3教科しか勉強してない。理科は苦手中の苦手なのだ。
「俺も法学部だよ!無線って電気の波だとしか分からないよ!」私学の弱点だ。国公立が、やはり頭が良いと言われるのは全教科で高得点を叩き出せるからだ。
「でも、これじゃゲームとして成り立たないよ!卑怯だよ!」電気に詳しい太一が怒っている。
「え〜っと、僕は機械いじり好きなんだけど…」とカメラマンさんが話す。
確かにカメラマンは機械好きじゃないとイジれないだろう。
「多分、これは太一君の言うとおりだと思うけど、それほど強い無線ではない気がする。ビブスだと身体に身につけるから高い電磁波は危ないんだよ。」カメラマンさんが説明してくれる。
「なので条件が揃えば反応する程度のものだと思う。
多分発生源はそんなに遠くないよ。島内だと思う。」と話してくれた。
「そうか!ここは陸から離れた小島だから、熱海からだと身体が危ない。携帯とか無線機じゃないと。
つまり…わかりやすく言うと〜」とポカンとしてる皆にどう説明するか太一が悩んでる。
「結局、糸電話とそんなに変わりないんです。距離が近ければ大声出さなくて良い。
つまり出力を高くしなくて良いんですよ。」苦しそうに説明してくれた。頭の良い人に説明するよりバカに教える方が何倍も大変なのだ。
「うん、なんとなく分かった気がする。つまり、その条件を探せばいいのね?警報機が鳴る条件を?」琴子が心もとなくうなづく。




