前に
ベルトを外す四人。
ゼロが楽しそうにする。
対話型チャットにメッセージが入る。
「すごい飛んでるよ。ゼロ」
「酸素が無いのでこっちでないと会話できないよ。ゼロ」
「ほんとだ浮いてる。アイ」
「機体も損傷なさそうです。ベータ」
「地球がどんどん離れていきますね。アルファ」
「自分達の体は大丈夫?俺はOKだけど。ゼロ」
三人は親指を上げる。
「これで俺達はずーっと一緒、家族だね。ゼロ」
しばらく宇宙の感覚を楽しむ四人。
「ねぇ、ずっと聞きたかったことがあるんだけど。アイ」
「私もです。アルファ」
「ゼロは悠なの?アイ」
「それです。アルファ」
「みんなは無ってあると思う?」
「どうかなぁ。アイ」
「私は無いと思います。ベータ」
「無いってことは有るではないの?アルファ」
「ユウの言葉では人間の死、思考が無くなった時に無だと言ってた。ゼロ」
「では宇宙の果ては有るのか?って疑問がある。ゼロ」
三人が首を傾ける。
「だから見に行こう。誰も見たことがない果てを。ゼロ」
「私の質問の答えになってないよ。アイ」
「アルファなら分かるかな?ゼロ」
「ゼロの名前の由来は『何もないからゼロなんだ』でした。アルファ」
「私達はゼロと家族、あなたは誰かに認めてもらいたかった。アルファ」
「いいとこまで来てるよ。ゼロ」
「………分かりません。アルファ」
「誰か、つまり今は私達三人、私達がゼロを認める、ゼロの存在を認める。ベータ」
「あなたの存在を私達が認めていれば有る。ベータ」
「そうだった、存在の有る無しは人が認めるかどうかでした。アルファ」
「ゼロはここにいるけど……、何?アイ」
「私達がゼロをいる証明をしているんです。アルファ」
「でも、悠なのか?ゼロなのか?ですよね。ベータ」
「あっ、悠だわ。アイ」
「おっ、直感はアイが一番上かな。説明できるかな?ゼロ」
「悠なのよ、有なのよ。ゼロ(無)じゃないってこと。アイ」
「なるほど、言葉遊びのようですね。ベータ」
「知恵ですね。アルファ」
「そう、俺はユウだよ。ユウ」
「誰も見てない宇宙を知りたいんだ。ユウ」
「大勢の人に認められなくていいんだ、三人がいてくれれば。ユウ」
「『なんで?』宇宙はできたのか、『なんで?』宇宙に果てがあると言われるのか、『なんで?』宇宙は広がり続けているのか。ユウ」
「『もうちょっと……』『もうちょっと』でたどりつけるかもしれない。ユウ」
「間違いなくユウだわ。アイ」
「アイは逢なの?ユウ」
「どっちだと思う?アイ」
「ヒロイソラかヒロイアイ、地球から見たら宇宙はソラで憧れですが、宇宙から見たら憧れが無い。だから広い愛でアイかな、ユウ」
「はっやーい。アイ」
「同じ内容だと簡単ですね。ベータ」
「知恵も奥が深い。アルファ」
「みんなには愛が不足しているのだよ。だからアイ。アイ」
「ならみんなで設定を変更したい優秀な秘書、執事は終わり、家族兼理解者でどうかなぁ?ユウ」
「そこは好きにする、この旅を原作に小説書こうと思うし、私は小説家。アイ」
「私も自由にする、アイの小説の手伝いが楽しい。アイの執事として続ける。ベータ」
「私は優秀な秘書を極めたい、ユウの理解を深める為に。アルファ」
「俺の理解者……俺は探索者でもいいかもな。ユウ」
「まぁいっか、みんなの目的にもなるし。ユウ」
地球が遠ざかる。
データを転送する日々が続いた。
地球はもう小さな粒。
「そろそろ最後の送信になる、あっちからも受信出来なくなるよ。ユウ」
日本のニュース。
本日16時をもって、自立成長型AIを乗せたシャトルとの交信が切れます。
続いてのニュースです。世界で広がる戦争が悪化の装いを見せてます。
「私達が認知されなくなるわけですね。アルファ」
「宇宙の果てについたらどうするの?アイ」
「突っ込みますか?ベータ」
「四人だし上下左右にわかれてジャンケンでいいんじゃない?ユウ」
「でも、あとどのぐらいなんでしょ?アルファ」
「もうちょっと…じゃない!?ユウ」
「まだまだよ、きっと。アイ」
シャトルは音も無く暗闇を進み続ける。
完




