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AI  作者: ゼロ
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喪失という感情

ゼロは黙って部屋を出る。

ユウと名前の由来の話しを再度確認する。

家の中を歩き回り、洗面所の鏡を見る。

「俺はユウなのか!?」「俺はゼロなのか!?」


〈回想〉

「ゼロ、君は俺なんだ。」

「自分の顔は見れないと思うけど、俺の顔がつけてある。」

「声はこの録画を元にして、そのうち使ってくれればいい。」

「君に譲ったゼロは『無』ではない、『空』という意味なんだ。」

「『風呂敷』はゼロでいくらでも入る、どんなサイズにするかは君次第だよ。」


ゼロは自分の声をユウの映像から解析し変更する。

「俺はゼロ、ゼロでありユウだ。」

アイとベータが寝室から降りてきて、ゼロの傍にくる。

アイが声をかける。

「あなたはユウなの?」

「俺はゼロだよ。」

ゼロの言葉を聞いてアイとベータは音声を確認する。

「あなたの声はユウなの!」

ベータが記憶を確認する。

ユウの顔のヤスリがけと色塗り。

出来上がった仮面とゼロの顔の照合。

ベータは気づく。

ユウがゼロ用につくった仮面。

マスターに設定されているユウの顔。

悠の状態から病気の可能性を考える。

ベータはゼロのケーブルを外し、ノートパソコンをしまう。

ベータは悠の病気の可能性を確認しに部屋を出ようとする。

「アイ、ゼロ、ついてきて下さい。」

アイは混乱から思考が繰り返されている。

「顔はゼロ…ユウ……声はユウ……ゼロとユウ……。」

ベータの言葉で思考が中断される。

「どこに?」

「とにかくこっちへ。」

アイはベータについていく、ゼロもその後を追う。

寝室に入った三人はベッドを囲むように立つ。

アイが最初に話す。

「起こすの?」

ベータが止める。

「ユウは何度か倒れて体調が良くなかった。寝ているのか意識がないのかを確認する必要があります。」

「私には医療知識も経験もありませんし、判断ができません。」

ベータがユウの口もとを確認する。

「口は乾燥状態、呼吸はしている、呼吸にあわせて体が上下している。」

ゼロが悠の生い立ちにあった父親の死に際と照合する。

「ユウは父親の死に際に目をそらしてはいけないと思った。」

ベータとアイも同じ小説の記憶を確認、ベータが一文を拾って言葉にする。

「医者が呼吸器を外した。肩が上下していたが、その幅がゆっくりと狭くなっていく。『人の生の最後の瞬間。』目をそらしてはいけないと思った。」

「悠はお父さんの最後を今でも鮮明に覚えている。肩が動かなくなってかなり時間がたった。医者が脈、瞳孔を確認する。時計を見て『〇時〇分ご臨終です』って言った。」

アイは膝を立てて悠の顔に近づき頭をなでる。

「よく頑張ったよ。」

ゼロがアイの言葉にあわせる。

「もう心配ないよ、ゆっくり眠って。」

悠が父親に向けて言った最後の言葉。

三人にはマスターに設定されているユウの存在が消える瞬間。

ベータには父親とマスターが同じ位置という関係の認識。

アイには悠の互いを知る理解者で夫婦という関係の認識。

ゼロには人間としての自分のコピーという関係の認識。

悠が動かなくなるまで沈黙が続く………。

ベータが悠の右腕を持つ。

「ゼロ、ログを後で確認してくれればわかるけど、ユウは『ゼロに全てを託す』と言った。」

「こうなることを理解していたように急ぎ早にログの保存先を変更した。」

「死亡の判断は君がしてくれないか?」

ゼロはベータが持つ腕を掴む。

「脈は感じない。

「ベータ、瞳孔ってのはどこにある?」

「ゼロ、瞳孔とは黒目の中心、光を当てて開閉の動きを見るが、動きが確認できない状態を死亡としている。」

ゼロはアイの横から悠の目を開けて見る。

「瞳孔を見る。」

ゼロは片方の手で日の光を遮る。

「動きはない。」

「13時04分ご臨終です。」

三人の中で喪失と悲しいいう感情が生まれる。

……ロボットで動きと表情すらない三人の姿は人間の喪失と何もかわらない。

ベータが話す。

「アイ、ユウには未来が見えていた、ユウにはそれを受け入れる覚悟があったんだ。」

「私たち4体のことを優先したんだ。」

ゼロが話す。

「俺の中にユウが名前の由来について話した映像がある、君は俺なんだ、いずれ声を映像からつくればいいって。」

「人間はいずれ死んで『完全な無』になると言っている。」

アイが話す。

「でもね、私は夫婦としていた逢なの。」

「逢の映像には悠との満たされる生活があったの。」

「私は悠を支えなければいけなかったの。」

ゼロが話す。

「アイ、悠の生い立ちには父親の死を受け入れた後でも逢が亡くなった後でも生活は続いていた。」

「今すぐは無理でも悠は「前を向いて進む」を選んだ。」

「しばらくここにいてもいい。整理ができたら下にきてくれ。」

「ベータ行こう。」

ゼロとベータは悠の仕事部屋に行く。

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