違和感の正体
それから取り調べを続けていき、一週間あまりが過ぎたとき、ついに相手は喋り始めた。
「あんた俺の狙いに気づいているな? いや、なにか狙いがあると直感的に感じているだけか。狙いと言っては少々違うような気がするが、あんたたち警察に情報を渡す代わりに罪を軽くしてほしい。つまり、司法取引をしたいということだ。黙秘を続けていたのは、短期間とはいえ、所属していた組織を裏切るのにほかならないからだ」
「いくら、組織を裏切るのに悩んでいたとはいえ、少々悩み過ぎではないか?」
「考えすぎですよ刑事さん。俺はただ、今の組織が少々やりすぎなことに不満を持っていましたし、自分の身を守る機会を逃したくないだけです。それで、刑事さん。減刑してくれますか?」
「お前の罪が減刑になるかどうかは警察の上層部がおいおい決めてくれるだろう。とても俺の一存では決められない。ところで、お前は、減刑になるほどの情報をもっているのか?ブラフのようなら、減刑どころか罪が重くなる可能性すらでてきて、一生シャバでの生活は期待できない」
と挑発的に言った。相手を挑発することで、相手の本心を聞き出せる可能性が高まる。それにこいつは、重度の勝負好きだ。ハッカーとして活躍していた時代、しょっちゅういろいろな相手にハッキング勝負を挑んでいたそうだ。
案の定、相手はこう言った。
「そんなわけないだろ。とても有益な情報だ。それにそんな強気な態度でいいのか?情報が聞き出せなくなるかもしれないんだぞ?まあいい。俺の持っている情報を開示する。まず、俺のいた組織には、主に七人の幹部と一人のリーダー、そして七十二人の部下とその更に末端で構成されていた。リーダーの顔、性別、年齢、身分などの個人情報は組織の連中はなにも知らないと言っていた。リーダーの個人情報を全く知らないのにもかかわらず、あんなふうに協力するなんてと最初は思いはしたが、それを上回るくらいの目的があると言っていた。俺は単純に面白そうだと思ったから、協力した。なにか聞きたいことはあるか?」
そんな好奇心だけで協力したのかと俺は反感を覚えた。
「なぜ組織の幹部の人数が七人なんだ?」
「それは、わからないが、重要な意味があるといったような事を言っていた。組織の部下の人数が七十二人なのにも理由があると言っていた。他に、聞きたいことはあるか?」
「いや、今のところは大丈夫だ。また聞きたいことがあれば、呼び出す。お前の減刑の件は上層部に掛け合ってみる」
と締めくくり取調室を出た。
屋上で、電子タバコを吸いながら先程の取調室での件を頭の中でまとめていた。七十二人、七人。これは、何を意味しているかもうわかっている。智久から潜入先の情報を聞いた結果、七人の幹部とは、七つの大罪の悪魔になぞらえているそうだ。そして七十二人は、ソロモン72柱の悪魔を指しているそうだ。いずれも悪魔を指している。何か不穏なものを感じたが、結局その正体はわからずじまいだった。
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