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罪人  作者: 天内翔


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黙秘

次の日、佐伯茂は警部にまた呼び出された。前と同じようにドアをノックして入れと言われ警視総監室に入る。

「今回の犯罪を防げたことを誠に嬉しく思う。早速、取り調べをしてもらいたいんだが、その前に、あいつの素性について教えておく」

 と前よりも少し陽気な声で言った。

「てっきり、前回の公開処刑というのは名ばかりの独善的な虐殺によって、囚人全員が殺されたと思っていたが、あいつは警察が秘密裏に逮捕したブラックハッカーの一人の遠藤善治だ。NASAやFBIを始めとする有名な大組織のコンピュータ内をハッキングして、そこで得た情報をダークウェブで売りさばいていた。しかし、ある日ハッキングに失敗し、警察に逮捕された経歴を持つ世界的にも危険なハッカーの一人だ。警察がしてやられれていた原因の一つにこいつが関わっていたからということもありそうだ。そこで、きみにはもちろん捜査にも尽力してほしいんだが、こいつの性格が意外と難解で、取り調べが難航しているんだ。きみには、次、何が起こるかわからないからできるだけ早く情報を多く得るために優秀な君にやってもらいたい。やってもらえるか?」

 試すような口ぶりだった。目で昇進でも昇給でも何でもしてやるぞと言っているようだった。

「はい。もちろんやらせていただきます」

 とできるだけ張り切っているような声で言った。そのあと、重要なポストにつけるように手配するだの、給料がはずませるだの言っていたが、昇進や昇給が目的で刑事になったわけではないので相槌だけうって適当に受け流していた。そして、取り調べをするため、取調室に入った。いかにも体調が悪そうな風貌で、猫背で、目の下には隈ができていて、改めて見ると、全体的に陰気な印象を受けた。取り調べを始めても、結局最後まで喋らずじまいだった。しかし、この取り調べをしてわかったことは、遠藤はあえて黙秘を貫いているようにみえた。まるで、なにか狙いがあるかのように。その証拠に顔色はとても悪かったが、目は死んでいないように見えた。言うなれば、刑事の勘とでも言うものが働いたと思う。


⚠︎本作はカクヨムでも投稿しています

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